この記事について
税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。
中国に行ってましたよね。なんでしたっけ、ドローンの街?
はい。深センです。
世界の最先端でしたっけ。
「世界でいちばん成長してる街」らしいです。
でもトランプに言わせれば、中国って「出資させて、会社つくらせて、技術だけ盗んで、自分でやっちゃう」技術泥棒だ!と。
まあ、確かにそういう部分もあります。
ドローンはちゃんと自分の技術なんですか?それとも盗んだ技術なんですか?
開発したのはアメリカですからね。元々。
じゃあ、何がすごいんですか?中国って。
たとえば深センって「紅いシリコンバレー」って言われてまして。
紅いシリコンバレー?
はい。すごい技術もたくさんあるんですよ。
電気自動車とか?あるいはキャッシュレス社会とか?日本より進んでますよね。
その分野は間違いなく最先端ですね。
じゃあやっぱり技術は進んでる。アメリカが言いがかりつけてるだけ?
毎年60万人の留学生を中国は排出してるんですけど。そのうち48万人がアメリカで学んで帰ってくるらしいです。
じゃあトランプの主張も一理あると。
結局、アメリカで学んだ人が中国に帰って起業するので。そういう要素もあるのかなと思います。
優秀な人材を受け入れるのが、アメリカの良さでもありますからね。
アメリカと中国の違いは、深セン見てると感じます。
どう違うんですか。
深センは全体像がぜんぜん見えないんですよ。実験都市みたいな感じで「何でもかんでもとりあえずやってみる」みたいな感覚。
それが共産主義の強さでもありますよね。トップダウンで無理やりやれちゃうっていう。
ありますね、本当に。すごいですよ。道路も5車線で、元々デカくするためにつくったような街。交差点もほとんど渋滞しない。
へぇ。まず結論ありきで街ができちゃうって、凄いですね。
地下鉄も十何本走ってるんですけど、地下鉄って普通あとから作るじゃないですか。
ですね。土地がなくなって仕方なく地下に作るみたいな。
でも中国では、はじめからやってて。たぶんアメリカの都市とか、ああいうのを全部研究してると思うんですよ。
最終的にはどうなると思いますか?米中貿易戦争の行方は。続けていけば絶対にアメリカが勝つだろうと言われてますけど。
普通に考えたらそうなりますよね。
アメリカが中国から買ってる商品は、他の国でも代替えできるらしいです。
そうですよね。
一方で中国が輸入してるアメリカの商品は、アメリカからしか買えない。だから結局、中国は折れるしかないんじゃないかと言われてます。
私はそんなに単純じゃないと思います。中国にはもっと底力があると思う。
ありますか?底力。
中国って、まだ田舎のほうに行くと、安い労働力がいくらでもあるんですよ。
労働力はありますけど技術はどうですか。もう自前でやれるんですか?
HUAWEIなんかも、今まではシリコンバレーに頼らないと基幹部品ができなかったんですけど。新しいイノベーションが生まれるかもしれない。
もう、そういうレベルなんですか?
まだ、できないと思います。ただ中国人って、もっと長いスパンで見てる気がする。
たしかに。アメリカとは歴史の長さが違いますもんね。アメリカは200年ちょい。
中国は何千年の話なので。考えているスパンが違います。
じゃあ「100年200年かけて世界の覇権をとる」ぐらいに考えてるんですかね。
そんな感じがしますけど。「今は日本に負けてるけど、必ず長い歴史の中では中国人が勝つ」って合言葉になってますから。
日本はまだ勝ってるんですか?中国に。
上海も深センも行きましたけど、国民のマインド的には中国人のほうが凄いですね。
それは成長意欲みたいなものですか?
成長意欲とチャレンジ精神。過去の貯金で「まだかろうじて日本が勝ってる」というイメージですね。
過去の貯金?イギリスみたいな?
そんな感じですね。
でもイギリスほど貯金ないですけど。どうしたらいいんですか。
正直、中国に行って、日本が勝てる気しなかったです。
私世代の経営者は「若かったら絶対に早い段階で日本出るよね」って人が多いです。
いや、ホントにそんな感じですよ。
日本の技術者も、どんどん中国に高い給料で引き抜かれてますし。
やっぱり合理的ですよ。ビジネスのやり方も。たとえば目の前にデキそうな人がいたら「100万で明日から来てくれ」みたいな。
デキそうなだけで?
そういうスピード感なんですよ。で、1週間ぐらいたって「おまえ、やっぱダメだな」みたいな(笑)
そういう場合はどうするんですか?
日本より労働法が厳しいんですけど「200万払うから明日辞めてくれ」みたいな。
それで働いてる人は「YES」って言うんですか?
それが普通なので。「どこどこで技術者やってました」って、次に転職していく。
日本だったら、しがみつく人もいるじゃないですか。そうならないんですか?
国家全体が伸びてるので「次にチャンスがどんどんある」みたいな感覚ですね。
共産主義って、基本的には貧富の差がないはずで、労働法も日本より厳しいわけでしょ?なんで簡単に解雇できちゃうんですか?
いや、中国こそ資本主義なんですよ。日本の方が共産主義っぽい。
確かにそうですね。労働力不足で転職先にもぜんぜん困らないはずなのに。
日本って保守的なんですよ。新卒の給料もほとんど一律ですし、レールから外れたら「評価が下がる」というイメージ。
確かにそうですね。中国では転職って、上がっていくイメージなんですか?
そんな感じです。ステップアップしていくイメージを社会全体が持ってます。
まとまったお金もらえるんだったら「辞めて転職するか」って感じ?
そんな感じでしょうね、特に優秀な人は。
そういうマインドにならないと、日本人もダメだってことですよね。
日本でも優秀な人はそうなりつつあります。
まあ早期退職制度とか、優秀な人ほど先に手を挙げますもんね。
そう。だからお金もってる会社は揉めないんですよ。
やっぱり一番しんどいのは、お金のない会社ですか。
はい。お金がなくて、人を抱えちゃってる会社。
リリースしたくても出来ませんもんね。
おそらく、そこが日本社会の抱える最大の問題ですね。
久野勝也
(くの まさや)
社会保険労務士法人とうかい 代表
人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。
事務所HP https://www.tokai-sr.jp/
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。
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Great depth 😮 https://myspace.com/koranews123