第231回 自己運用が必須の時代

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第231回「自己運用が必須の時代」


安田

久野さんオススメの確定拠出年金に、妻も加入しました。

久野

ちゃんと運用してますか?

安田

「運用した方がいい」って久野さんに言われて、やるようになりました。

久野

けっこう増えていませんか?

安田

運用益なんて微々たるものだと思ってましたけど、これはすごいです。ログインして残高を見るのが楽しいです(笑)

久野

よかったです(笑)じつは放置してる人が多いんですよ。操作方法を覚えるのが面倒だって。

安田

私もそうでした。でもやってみたら簡単で。

久野

そうなんです。すごく簡単なんです。

安田

こんなに増えていくって、みんな知っているんですかね。

久野

安田さんはどの株で運用してますか?

安田

海外の株だと思うんですけど。なんとか500っていう。

久野

S&P500ですね。

安田

それそれ。久野さんもS&P500ですか?

久野

じつは私は古い商品ラインナップしかないバージョンで。不利な状態なんです(笑)

安田

それって変えられないんですか?

久野

いろいろあって私だけ変えられなくて。社内のメンバーやお客さんは、みんな最新バージョンを使ってます。

安田

一瞬で付け替えとかできますよね。

久野

そうなんです。海外の株もちゃんと買えるようになってまして。

安田

海外の株で運用している人って多いんですか。

久野

今はすごく多いですね。

安田

知り合いに聞いてもS&P500という言葉がよく出てきます。これって海外の手堅い株なんですか。

久野

S&P500はアメリカの主要な会社のオールスターみたいな感じ。

安田

手堅い割にけっこう増えていきますよね。

久野

時期的なものもあると思います。今はすごくいいです。

安田

大企業の社員さんって、みんなこういう年金運用をしてるんですか?

久野

そうですね。もともと企業型確定拠出年金は大企業中心に普及したので。大手は会社が掛け金を掛けてくれるんです。入社した時から。

安田

会社が運用してくれるんですか。

久野

運用はしてくれないですけど、掛け金を毎月5000円、1万円という感じで掛けてくれます。

安田

それを自分で運用すると。

久野

そうです。自分で運用する。

安田

運用の仕方は教えてくれるんですか。

久野

細かい商品の選択は教えてくれないですけど、「どういうふうに運用するといいか」みたいなことは教えてくれます。

安田

システムの使い方を教えてくれるってことですね。

久野

そうです。

安田

大手の社員は至れり尽くせりですね。

久野

そうなんですけど、あまり一生懸命考えてやらないんですよ。私もサラリーマンの頃はそうでした。

安田

かつての私と同じですね。「運用したほうがいいよ」って久野さんに言われるまで、放置してました。

久野

そうでしたね(笑)

安田

やっぱり日本人は金融リテラシーが低いんでしょうか。

久野

そう思います。だけど今の時代は必須です。だって銀行の金利が0.00何%とかの世界ですから。

安田

貯金してるとどんどん自分の財産が減っていきますよね。

久野

今は円安なので、そうですね。

安田

でも日本人って、あまりそういうのを考えないですもんね。銀行に貯金しておけば安全だと信じてるし。

久野

銀行に預けて、おろした瞬間に300円ぐらい手数料を取られて。金利より遥かに高いですから(笑)

安田

そうですよね。

久野

暴利ですよ、あれは。

安田

「もう現金はやめよう」ってことでしょうね。

久野

そう思います。

安田

久野さんは中小企業に確定拠出年金をすすめてますけど。力を入れ始めて何年ぐらいになるんですか?

久野

いま6年ぐらいですかね。

安田

新しく確定拠出年金を開始された企業って何社ぐらいあるんですか。

久野

うちが進めているだけで500社あります。

安田

すごいですね。

久野

そのうち1社が安田さんです(笑)

安田

私はとっても感謝してます。本当にやって良かったです。

久野

まだまだ知らない人が多いです。ぜひ1回は話を聞いたほうがいいと思います。

安田

知らないのはもったいないですよ。無税で手取りを増やせるみたいなものですよね。 

久野

はい。上限は決まってますけど。

安田

ちゃんと運用を考えてる中小企業の社員って、ほとんどいないんじゃないですか。

久野

これだけ「投資が大事」って言われていても、10人に1人やっているか、いないかぐらい。

安田

そうですよね。

久野

説明会でクライアントの社員さんに「何か金融投資はやってますか?」って聞くと、ほぼ手が上がらないです。

安田

説明をちゃんと聞けば反対する理由がないと思うんですけど。とくに経営者さんはメリットしかないし。

久野

まだ浸透していない状態なので。怪しいと思ってしまう人が多いですね。

安田

これから税金や社会保険料がどんどん上がっていくじゃないですか。

久野

間違いないです。

安田

そこに持っていかれるぐらいなら、みんな上限いっぱいまで運用したほうがいいと思うんですけど。

久野

いまの高齢者って、すごくお金があるときの恵まれた世代なんです。それを見てるから「自分たちもああなれるんじゃないか」って錯覚をしちゃってます。

安田

若い子はしっかりしてそうですけど。

久野

そうなんですよ。金融教育をちゃんと受けてきた子たちが増えてます。だから環境を整えてあげたら中小企業の採用力も上がるんです。

安田

ちなみに上限の金額は変わらないんですか?もっと増やして欲しいですけど。

久野

いずれ上がると思います。インフレになっていけば上げざるを得ないですから。

安田

国としても自分で運用させたいでしょうね。

久野

老後の資金を自分でつくらせたいんですよ。そのぶん年金の支給を遅らせたい。

安田

そんなことを考えてるんですか!

久野

間違いなく考えていると思います。

この対談の他の記事を見る



久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

感想・著者への質問はこちらから