お金の定義

何かをやってもらったら「ありがとう」と言う。誰もが子供の頃に教えられる習慣である。だがこれを身につけている大人は少ない。感謝をきちんと口にできるだけで、人生は全く違ったものになっていたことだろう。

お金についても同じである。ちゃんとした価値観、ちゃんとした習慣を身につけておけば、人生は全く違ったものになっていく。たとえば誰かから何かを買う。誰かに何かをやってもらう。その時には「お金を払ってありがとう」と言うこと。

お金も言葉も同じものだ。感謝のしるしなのだよと教えてあげる。言葉でありがとうと伝えるのと同時に、大人はそれを行動で表す。自分ができることでお返しをしたり、自分が持っているものをお礼に差し上げたり。

持ちつ持たれつで社会は成り立っている。「だから言葉と行動でちゃんと感謝を伝えようね」と教えてあげる。だけど自分ができることや、自分の持っているものが、必ずしも相手が欲しいものだとは限らない。だからお金というものが生まれた。

お金はその人が欲しいものと交換できる。とても便利な感謝のしるし。だから現代社会では「お金とありがとう」がセットなのだ。金融リテラシーも確かに重要な知識ではある。だがその前に、そもそもお金と何なのか、お金の定義をしっかり教えること。これが何より重要だ。

生きるためにお金が必要だとか。それを得るために働くのだとか。仕事は遊びじゃないから大変なのだとか。なぜ大人はお金を我慢の対価として教えるのだろう。普通の人はそんなにお金を持ってない、それは悪いことなどせず苦労してお金を得ているからだと教える。その結果、お金は汚いもの、お金持ちは汚いことをした人たち、と信じ込んでしまう。

これで子供たちは幸せになるのだろうか。我慢して働き、苦労して稼ぐ大人になって欲しいのだろうか。もし自分の子供に幸せになって欲しいなら。誰かの役に立って、感謝されて、ちゃんと稼げる大人になって欲しいのなら。やるべきことは決まっている。

誰かに必要とされる人になること。たくさん感謝され、たくさんお礼を言われる人になること。するとたくさんの人から「ありがとう」と言われ、たくさんの人から「お金」をもらえる。

お金を使って好きなものが買えるし、誰かに助けてもらった時にちゃんとお金を払うことができる。それがとても幸せなことなんだよと、是非とも教えてあげて欲しい。

 

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