収入130万の壁がついになくなるという。つまり扶養のルールが変わると。

はい。

いくら最低賃金を上げたところで「働く時間が減るだけだ」って言われてましたもんね。具体的にはどう変わるんですか？

非常に複雑なんですけど（笑）

そんなに複雑なんですか？

元々のベースは労働時間なんですね。

はい。労働時間。

で、じつは壁がふたつありまして。106万の壁と130万円の壁と。

なるほど。ややこしい。

あともう1個、主婦30時間の壁というのがあるんです。

まだあるんですか（笑）

そうなんです。

問題の本質は「扶養に入っていたいから働く量を減らしちゃう」っていうことですよね。

そうですね、はい。

だったら、そういう壁を全部取っ払うしかないと思うんですけど。

今回は「取っ払うぞ」という意志の現れだと思います。130万の壁を150万、160万、とずらしていく感じで。

この先ずっとずらし続けていくわけですか。

いつかその壁が無効になるだろう、という狙いなんじゃないかなと思います。

いつか無効になる？それはどういう理屈で。

物価がどんどん上がってるから130万ぐらいじゃ生活できないよねと。賃金も上がってるから働くのが当たりという感じになる。

いずれ壁なんて気にしなくなると。

たとえば100万円以下だと住民税ってかからないんですけど。100万円の壁を意識してる人っていないと思うんです。

100万以下じゃ生活できないから。

そうです。130万の壁もいずれそうなってくと思います。

普通に考えたら2つの選択肢があると思うんです。いくら稼いでも扶養に入れるという選択肢と、どれだけ稼ぎが少なくても社会保険に加入させるという選択肢と。

インボイスは後者の選択肢ですよね。

はい。売り上げが少なくても消費税はちゃんと払いましょうと。社会保険もちゃんと入りましょうとはなりませんか？

そういう意味では来年から、社員51人以上の会社で週20時間から社会保険加入が必須になります。

それは収入に関係なく？

106万円以上稼いで、かつ週20時間以上働くと社会保険に強制加入させられる。というルールですね。51人以上の会社は。

それが来年からスタートすると。

はい。週20時間以上働く人が106万以上稼ぐと社会保険に加入しなくちゃいけない。だからその頃には130万の壁がもうなくなると思います。

夫だけ働いて家計を支えるっていうのはもう無理ですからね。

現実問題として、この先どんどんそうなるでしょうね。

2人で稼いで、2人で家事育児をやって、税金も社会保険もふたりで払っていくと。

そうなっていくと思います。

扶養というシステム自体がもう現実に合ってないんですね。

合ってないです。

だけど、いきなり扶養をなくすと問題が起こるので、日本的手法で2年までは猶予され、それが3年になり、5年になり、実質なくしていくと。

そうですね。政治的な部分が大きいです。なんとなくパッケージとして聞こえがいいじゃないですか。助成金なんかもつけて。

結果的に社会保険加入者が増えると一人当たりの負担は減るんでしょうか。

そもそも年金が足りないから負担する人を増やすわけで。減ることはないでしょうね。

ずっと苦しいままじゃないですか！

その分たくさん稼ぎましょうってことです。頑張れば300万ぐらいは稼げますよと。