第332回 一瞬で年収を100万円アップする方法

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第332回「一瞬で年収を100万円アップする方法」


安田

日本人の平均年収は460万ですが、最も人数が多い中央値は400万にも満たないそうです。

久野

年収1000万円以上の人が平均を引き上げているんでしょうね。

安田

そうなんですよ。6割以上の人が450万以下で。もっと上げていかないと生活が厳しい。

久野

格差はもっと広がっていくんじゃないですか。

安田

中央値を上げるのは難しいってことですか?

久野

いえ、全体としてもインフレで上がってくとは思います。企業としても上げざるを得ないし。

安田

最低賃金も上がっていますからね。ただ稼ぎが増えると税金や社会保険料も上がっていきます。

久野

あえて稼がない人も増える気がします。年収は少ない方がいいんじゃないかって。

安田

とはいえ年収が増えないと生活もきつい。やはり底辺は上げていかないと。

久野

今やっているのでそこは上がっていくと思います。ただ劇的に改善するとは思えなくて。

安田

それはなぜ?

久野

相場に対してギリギリまで上げているだけなので。

安田

コストプッシュ型の値上げだと人件費までは届かないと。

久野

本来なら物価+5〜6%は上げていかなきゃいけないんです。だけど現実的に上げられる会社が少ない。

安田

年収300〜400万円の人は350〜450万ぐらいが精一杯という感じですか。

久野

そうだと思います。

安田

それだと生活がどんどん厳しくなります。社会保険料も高くなっていくでしょうし。年収が高い人の税金もどんどん増えていきそう。

久野

社会保険料は給与連動型ですから。極端な話、1万円賃上げすると15%は国が持っていくわけですよ。

安田

15%ですか。凄いですね。誰のための賃上げなのか。

久野

どう考えても手取りが物価に追いついていかない。

安田

会社負担分も考えたら凄い金額を払ってますよね。

久野

会社負担ということになってますけど、本来はその分給料が上がってもおかしくないわけです。

安田

じつは自分の給料が減っていると。

久野

会社からすれば人件費なので。皆さんの稼ぎの一部ですよ。

安田

そう考えると報酬アップも微妙ですね。共働きで800〜900万円稼ぐのが一番いいかも。1000万を1人で稼ぐより手取りは多くなりそう。

久野

それは間違いなく多くなりますね。社会保険と税金のロジック的にはそうなります。

安田

ひとりだったら2000〜3000万は稼がないと。もしくは法人化して税金を抑えるとか。もう1人で家族を養う時代ではないですね。

久野

現実的には共働きがどんどん増えていくと思います。

安田

それにしても年収アップは必須です。世帯年収を200万円上げるとしたらそれぞれ100万のアップが必要。100万円アップって可能だと思いますか?

久野

100万円上げるのなんて簡単で、言われたことを言われた通りに責任感を持ってやるだけで上がります。

安田

それだけで上がりますか?

久野

言われたことを実行できるスキルがあって、言われたことはしっかりやろうという責任感があって。で、ミスしたら自分で謝りに行く。これで100万円は必ず上がります。

安田

なるほど。人のせいにしない人ですね。そして言われた仕事をきっちりこなす。それで100万は上がると。

久野

確実に上がりますね。仕事が出来ない人の管理コストってほんと大きいんですよ。上司がリマインドして、ミスしたら別の人が謝りにいって。

安田

会社はそういう人材をどうやって見抜いているのですか?

久野

面接の受け答えでしょうね。

安田

「言われたことをしっかりやってくれそう」「責任感ありそう」「成長意欲もありそう」って感じたら相場+100万円くらいは払うと。

久野

払うでしょうね。私だったら採用しますよ。

安田

つまり年収100万円アップは「心構え」だけで実現できるってことですね。

久野

1000万稼ぐにはスキルアップが必要ですけど、3〜400万の人が100万あげるのってスタンスさえ入れ替えたら一瞬で上がります。

安田

それで面接を乗り切ったとして、その後が大変ではないですか?

久野

入社した後にそのスタンスを続けられるかが重要ですね。それを続けられたら100万円どころかどんどん収入が増えていきますよ。

この対談の他の記事を見る



久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

感想・著者への質問はこちらから