2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
前回は 第231回「学歴の価値」
第232回「イーロン・マスクの勝算」
イーロン・マスクが「激務に耐えられないやつは辞めろ」と言ってまして。
凄いですよ。
みんな辞めちゃって「下手すると2,000人切るかもしれない」って言われてるんですが。さすがにこれは暴挙ですか。
いやいや。非常に真っ当なことをやっていらっしゃる。さすがですよ。
へぇ~。
これができないから日本は弱いんだろうなあって。
Twitterってずっと赤字らしいですもんね。
Twitterにいろんな課題があることは、イーロン・マスクも見抜いているでしょ。
それも分かって買っている。
もちろん。勝算がなければ買いませんよ。イーロン・マスクって、元々どれが創業事業かご存じですか?
電気自動車じゃないんですか。
違うんですよ。
え!違うんですか?
今でいうPayPalの原型。決済なんですよ、この人。ネット決済。
そうなんですか。
はい。ネット決済で成功してから彼のサクセスストーリーが始まるんです。だからTwitterとも相性がいいんだと思う。
なるほど。
ツイッターに決済機能をつけるとか。たくさんビジネスが浮かんでるはずですよ。
ダメ出しばかりしてるわけじゃないと。
ダメ出しも必要なんです。Botってご存知ですか?ロボットから来ている。
わかります、はい。勝手に誰かの名言とかをつぶやくやつですね。
そう。自動でどんどんやっていく。あのBotが多すぎる。
多すぎるとどうなるんですか。
似たようなコンテンツばかりになってしまいますよね。
確かに。
機能もまだまだ足りないですよ。YouTubeがおもしろいのはレコメンドがあるからで。「こんなのはどうだ?」「こんなのもありますよ」って。
確かにTwitterにはないですね。
いま「有料課金しようか」って言ってるけど。あれは要するにBotをなくして、もっと独自の、いろんなアイデアを付加しようと。
なるほど。
そのアイデアを実行するには、いまのぬるい社員はほとんどいらない。
そこに行き着きますか!
そもそもTwitterに7000人も社員が必要なのかどうか。
必要ないですか。
だからTwitterって、ぬるくていい会社だったわけですよ。
Twitterジャパンの社長は女性らしいですね。
Amazonで活躍していた人ですよね。社長は優秀かもしれないですけど、スタッフレベルまで含めて、たぶんぬるいんですよ。
それにしても、こんなにリストラする必要があるんですか。
「このぬるい会社を一気に変えてやれ」ってなったら、そりゃ入れ替えたほうが早い。会社のスクラップアンドビルドって人の入れ替えで進むから。
アメリカ企業でもぬるい会社ってあるんですね。
もちろんありますよ。外資も、みんながみんな生存競争激しい会社ばかりじゃないから。経営者によってぬるい会社はあります。
ユーザー課金というのはどうですか。時代を逆行しているようにも見えるんですけど。
安田さんはYouTubeの有料サービス入ってませんか?
入ってます。
ですよね。僕も入ってますけど余計な広告が入らないから快適でしょ。
確かに。考えてみたらAmazonプライムにも入ってますね。
Twitterで恩恵を受けている人ってすごく多いんですよ。
私もそうです。Twitterから仕事の問い合わせが来たり。
その機能がもっと便利になったらどうですか?
月800円ぐらいは払うでしょうね。
安田さんがそう思うぐらいなので、イーロン・マスクは考えてると思いますよ。やっぱりさすがだなと思う。
イーロン・マスクがトップになるって、ちょっとワクワクしますよね。どんな新しいことを考えてくれるのか。
結局は人なんですよ。日本の大学がイケてないのは既存リソース、つまり教授陣を一切クビにできないから。そこがすべてのスタートだと思う。
大学も色々やろうとしてるみたいですけどね。
どんなに新しいカリキュラムを持ってこようが、どんなに学部学科名を新しくしようが、教えている人間は「同じおじいちゃん」じゃないですか。
確かに。
これじゃ変わらないですよ。新しいことをやろうっていうんだったら、人を入れ替えないと。
マスクさんはそれをやっただけだと。
イーロン・マスクのあの魅力だったら、「一緒にやりたい」って人が集まります。ブワーッと。
そんな気もしますね。「イーロン・マスクと働きたい」って人はいるでしょうから。
僕だったらあんな天才と仕事ができるなら、絶対に残りますよ。辞めるのなんていつでもできるし。
でもスポンサーは広告離れしちゃって。「ハードランディングすぎて、社会の反発を買うんじゃないか」って。ちょっと距離を置いてるみたいです。
僕は成功のイメージしか湧きませんね。
そうですか。
だってあれだけのアカウント数と、日常でのこれだけの使われ方をしていて。Botとかをなくして有料課金したら、たちまちグイーンと成長カーブを描くと思う。
いままでも優秀な人がいたと思うんですけど。イーロン・マスクが来たぐらいで黒字になるんでしょうか。
ひとりの天才経営者、トップが代われば変わると思う。
私もTwitterが好きなので期待してるんですけど。有料化してもいいから早くサービスを変えてほしいです。
安田さんが求めるようなクオリティやサービスが出てきたら、「800円どころか1,000円でも払ってもいいや」って思うでしょ?
ぜんぜん払いますよ。
そういう人が世界中にいるわけですよ。
確かにそうですね。だけど日本人はタダとか安いものに慣れちゃってるので。有料化したら日本人ユーザーは離れていきませんか。
優良顧客だけ残ればいいんですよ。
逆にそういう顧客だけ増えていくかもしれませんね。
自分のツイートを英訳して海外で発信してくれるとか。海外のおもしろいツイートを日本語に翻訳してくれるとか。いくらでもサービスのやり方があると思う。
いいですね。
動画って時間がかかるじゃないですか。Twitterぐらいがちょうどいいですよ。そこに可能性を感じるからテスラの株を売ってでも手に入れたんです。
石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。