第234回「台湾有事で日本はどうなる?」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第233回「デフレ脱却はもう手遅れ?」

 第234回「台湾有事で日本はどうなる?」 


安田

ソニーが熊本に半導体の新しい工場を建てるそうです。

石塚

メーカーの日本回帰はもう始まってますよ。

安田

日本人は真面目だし、人件費も安くなったので、「また工場を日本に戻すようになる」って石塚さん言ってましたよね。

石塚

まさにその流れだと思います。

安田

工場を新たに建てるほどニーズはあるんでしょうか。

石塚

ファウンダリといわれる、製造業の下請けみたいな形なんですよ。いま台湾が、半導体では最先端を行っているわけじゃないですか。

安田

はい。

石塚

だけど台湾の目と鼻の先に中国があるわけですよ。

安田

そうですよね。

石塚

大口ユーザーのアメリカとしたら、開発も生産もそんなところにあったら危なっかしくてしょうがない。

安田

それで日本に回ってきたと。

石塚

そう。ソニーとしても国内は人件費が安い、地政学的なリスクが少ない、水もふんだんにある。生産工場を専業でやるにはいい環境なわけです。開発はしないけど。

安田

開発はしないんですか。

石塚

日本人は最終仕上げが得意じゃないですか。決められたことを決められたとおりやって、きれいに仕上げて持ってくる。コストも安いし。

安田

ちょっと悲しいですね。

石塚

これを割り切ってやるしかないと思う。実際のところ台湾問題はチャンスなので。

安田

もし本当に中国が台湾に攻め込んで、仮に台湾が中国になったとしますよね。そしたら台湾は中国の一部として半導体をつくり続けるんでしょうか。

石塚

でしょうね。

安田

だけどそんな半導体は世界の国々が買わなくなると。

石塚

まずアメリカが絶対にそれをさせないと思います。

安田

させない?

石塚

半導体って軍事にも相当な影響があるし、産業に与えている影響もすごく大きいわけじゃないですか。

安田

そうですね。

石塚

だから先手を打ってるわけですよ。

安田

つまり台湾と中国がもめる可能性があるから、日本に工場を持ってこようとしていると。

石塚

おっしゃる通り。リスクヘッジをかけているんでしょうね。

安田

恐ろしいことですね。

石塚

だけど、これはある意味日本にとって追い風ですよ。

安田

台湾には申し訳ないですけど。日本にとってはラッキーだと。

石塚

はい。どんどん日本に移転してくれればいいわけです。

安田

台湾企業が「日本に半導体の工場を建てる」みたいなことはないんですか?

石塚

実際ありますよ。

安田

あるんですか。それはアメリカ的にはOKなんですか。

石塚

OKでしょうね。いざとなったら台湾の人が日本に移住してくるんじゃないですか。

安田

なるほど。つまり日本人になっちゃうということですね。

石塚

無理に日本に帰化されなくても、台湾国籍のまま日本で仕事をするということですよ。もちろん日本政府はOKを出すでしょうから。

安田

OK出しますか。

石塚

出すと思います。「日本でがんばってください」という感じじゃないですか。税収も増えるし。

安田

結局アメリカ次第なんですね。日本人は原爆まで落とされたのにアメリカびいきですよね。

石塚

選択肢がないんです。中国という怖い国があるから「アメリカと仲良くしよう」ってことでしょ。

安田

歴史的に見たら中国に酷いことをされたわけでもないんですけど。むしろ色々お世話になってますけどね。

石塚

今は共産党一党支配じゃないですか。ロシアなんか見ていても独裁政権ってやっぱり怖いですから。

安田

つまり日本は「アメリカ対中国」の図式では、アメリカについていくしかないと。

石塚

本当はもう少しリーダーシップを発揮して、「バランスを取る役割」を引き受けるのが一番いいんでしょうけど。

安田

無理ですか。

石塚

むりむり(笑)

安田

そんな権限もないんでしょうね。基地で抑えられちゃっていますから。実質的にはアメリカの子分みたいなもんで。

石塚

日本の不動産もいいところはみんなアメリカが持っていっちゃったし。

安田

企業も買収されていくんでしょうか。

石塚

「実は外資系」という会社がすでにいっぱいあります。

安田

なんと。もうすでに外資系企業が水面下で増えてる。

石塚

もう実質的にアメリカの52番目の州になってる感じですよ。日本に関してはアメリカの占領政策が本当に成功したんでしょうね。

安田

52番目の州だったら権利もあるんですけど。ハワイみたいに。日本なんて「独立させた」という名目と引き換えに、思いやり予算とか払わされ続けてますから。

石塚

ほんと。アメリカの国債なんてどれだけ買わされているか。

安田

買わされるだけで売れない国債ですもんね。

石塚

橋本龍太郎が急死したときに陰謀論が出ましたもんね。

安田

そうなんですか?

石塚

橋本さんが総理大臣時代にアメリカで「アメリカ国債を売りたいという衝動にかられないこともない」と発言したのが大問題になって。「あれだ」って言われてます。

安田

恐ろしい。

石塚

まあ陰謀論だけど。でも橋本龍太郎さんはアメリカに一矢報いたわけですよ。

安田

一矢報いたんですかね。

石塚

アメリカには目障りだったでしょうから。

安田

日本は独立国家と言われてますけど、自分の意思で決める立場にないんでしょうね。

石塚

ないない。

安田

不思議なんですけど。なぜ日本の政治家はそれをちゃんと言わないんでしょうか。「日本には自由なんてないんだ」って国民に言っちゃえばいいのに。

石塚

私もそう思います。

安田

今回の敵基地攻撃能力にしたって、どうせ高いミサイルを買わされて、アメリカに「撃て」って言われるまで撃てないんですから。

石塚

でもね安田さん、一方で日本の富裕層ってものすごく多いんですよ。「世界富裕層報告書」によると100万ドル以上の投資資産を持っている日本人って316万人いるんです。

安田

みんな「お金がない」って言ってるのに。

石塚

これね、アメリカに次いで世界第2位なんです。

安田

なんと!

石塚

1億ぐらいすぐ動かせる人たちなんですけど。彼らにとっては、アメリカだろうと中国だろうと、どうでもいいんですよ。自分の資産が守られれば。

安田

じっさい富裕層はみんな海外に移ってますもんね。

石塚

そうそう。

安田

残りの1億1,000万人はどうなるんですか。

石塚

そこは貧乏なままということでしょうね。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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