第273回「外圧でしか変わらない日本の頭」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第272回「仕事はどこまでリアルに戻るのか」

 第273回「外圧でしか変わらない日本の頭」 


安田

「日本終わった論」はもう打ち止め? 

石塚

いま日本が「G7諸国の羨望の的になっている」というニュースですよね。Bloombergの。

安田

にわかに信じがたいですけど。

石塚

まあ日本にも伸びてる大企業はあるので。そこに投資してた人が儲かりましたよ、日本株も捨てたもんじゃないよ、ってニュースですね。

安田

人口減少を乗り越えて、長い不況も乗り越えて、「日本は復活するんだ」みたいな記事になってますけど。

石塚

前が酷すぎたので。そのレベルから比べると、さすがにもう底は打ったでしょうと。だって伸びてるは伸びてるじゃないですか。

安田

主要7カ国、G7をリードするほどの伸びなんでしょうか。

石塚

半々かなと思います。日本株を売らせるためのポジショントークが半分。

安田

残りの半分は?

石塚

投資家目線で言ったら日本が魅力的なのは確かです。

安田

まあ投資家から見れば人件費が安いこともプラスだし。

石塚

そう。

安田

文句も言わずに真面目に働くし。

石塚

全部プラスです。

安田

だけど日本人の我々からすると「それってプラスなの?」って感じですけど。

石塚

投資対象としてはG7の中で1番魅力がある。これは数値的にも裏付けられてます。だから「もう日本は終わった」ばっかり言わない方がいいんじゃないのって話。

安田

なるほど。確かにアメリカ経済は伸びてるけど、そのぶん人件費もバカ高くなってるし。

石塚

おっしゃる通り。

安田

日本の場合は業績が伸びてもどんどん会社が貯め込んで。投資家からすると「これはいい会社だぞ」ってことですよね。

石塚

そうなんですよ。投資家からしたら「いい国だなあ」っていう評価は動かない。

安田

いまいちしっくり来ないです。成長軌道に乗ったという実感がなくて。周りを見ても何も変わってないじゃないですか。

石塚

日本の成長性と、投資対象としての魅力や評価が、少しごっちゃになってますね。

安田

周りからいいと言われても実感がないので。混乱してます。

石塚

まず世界から投資のお金がどんどん来てることは、日本にとってはプラスです。そして日本の成長課題は顕在化してるので、問題はそこに手つけられるかどうかですね。

安田

何がいちばんの課題なんですか?

石塚

80歳以上のおじいちゃんが未だに牛耳っている世界が多いってことですね。ジャニーズ問題も創業者が亡くなったから叩きやすくなったわけで。

安田

生きていたらこうはなってないと。

石塚

そう思います。マスコミに関しては読売のナベツネが死なないと変わんない。それが日本の現実ですよ。

安田

死ぬまで待つしかないんですか?よく言うじゃないですか。変化をもたらすのは「バカ者・よそ者・若者」だって。

石塚

上が押さえちゃってるから若者は難しい。

安田

となるとよそ者でしょうか。外資がどんどん投資して日本の経営陣を刷新していくとか。

石塚

それはすごくいいことだと思いますね。

安田

外圧で無理やり変えてもらって。

石塚

経営が変われば生産性が飛躍的にアップする可能性はあります。

安田

やっぱり問題は上の層ですか。

石塚

どの業界もナベツネみたいな存在がなくならない限り変わらないです。スポーツの世界だったら引退があるじゃないですか。大谷翔平だっていつか引退するわけで。

安田

イチローですら引退しましたから。

石塚

だけど経営者や政治家は引退しないんですよ。この国では。

安田

アメリカの大統領はちゃんと辞めていきますけどね。

石塚

新陳代謝しますよね。日本はずっと同じメンツで同じことをやってる。ここから抜け出ない限りもう先はないと思う。

安田

そして日本の頭を変えるには外圧しかないと。

石塚

悲しいけどそれが現実でしょうね。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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