2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
第291回「週休3日で明るい未来に」
週休3日ですか。
まだ少ないですけど、たぶん何かのきっかけで一気に進むと思います。
スタートはやはり大企業から?
そうですね。週休2日の時と同じように、大企業が始めて中小もついていく感じ。
これだけ人不足と言われているのに、さらに休みを増やせますか。
いや、そこなんですよ。つまり人が足りないじゃないですか。
はい。まったく足りていません。
ということは、ちょっとやそっとのことをやってもダメで。大胆なことをしないと解決しないわけですよ。
なるほど。それが週休3日制の導入だと。
やっぱり企業は優秀な人が欲しいじゃないですか。
はい。
だけど優秀な人って高いじゃないですか。だから優秀な人のシェアをするわけですよ。その時に自社の仕事時間は日数を減らして調整する。
日数を減らすと仕事時間も減りますよね。
そこを変えるわけですよ。うちは週休3日で水・土・日が休みです。その代わり1日はちょっと長いです。40時間を4日でやります。1日10時間です。という感じ。
なるほど。結構大変ですね。
全体でやれば他の部署の人とも絡ませやすい。問題なく回ると思います。
1日10時間だと残業手当はどうなるんですか?
出さなくていい。就業が週40時間ですから。
同じ給料で1日10時間勤務ですか。働く側はそれを求めているんでしょうか。
だって3日休みがあって同じ給料だったらいいと思いませんか。
どうなんでしょう。働いている時間は同じですよね。
同じです。もちろんこれは副業解禁とセットなんですよ。
あー、なるほど。副業をやれば収入が増えると。
おっしゃる通り。優秀人材の獲得、生産性アップ、どちらも優秀人材のシェアで実現できる。つまり週休3日は非常に理にかなってるんですよ。
出来ない人に長々やってもらうより、優秀な人に短時間でもいいから働いてほしいと。
そう。ミーティングを朝から7つぐらい入れてどんどん進めてもらう。
7つ!スケジュールを合わせるのが大変そう。
1日の労働時間が長い方がむしろスケジュールは合わせやすい。「給料は同じだけど週休3日あるからどうぞ副業してください」って。
つまり給料を増やす代わりに休みを増やしてあげる。
おっしゃる通り。
いずれは週休3日がスタンダードになっていくと。
2030年にはかなりの割合で法制化されていると思います。日本は週休3日の国になる。
これって世界的な流れですか。
先進国ではそうなっていくと思います。労働人口が急速に減っていくから。どうやったら優秀な人材をシェアできるかを全体で考えなきゃいけない。
労働人口は減るけど、優秀な人の労働時間は減らさない。むしろ増やしていくと。
その通り。増えた1日はどこかよそに行って働いてくれって話ですよ。そのぶん個人の収入は増えるわけで。
なるほど。
お互いに優秀な人は必要なので。「お前の会社も週4日で済むように仕事の設計しろ」と。
中小企業にはそんなに優秀な人はいませんけど。
中小企業は人を減らして大手の副業人材を受け入れればいい。週1、週2を優秀な人材に見てもらう。
なるほど。
それと組み合わせて大手出身のシニア層を積極採用していく。中小企業の人不足はこれで解決できます。
今までと同じように若者を採用して育てていくのはもう無理だと。
絶対に無理。全体のパイが足りないから。どうやったらみんなに最適配分できるか。1人の労働力や1人の能力を「とにかくみんなで使いましょう」と。ある意味いい時代ですよ。働く人にとってもすごく明るい未来です。
石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。