2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
第293回「インフラが消滅する日」
ついに新生児の数が75万人になりました。
ねー。確実に50万人までは減るってことですよ。
出生率が2を超えるって、とんでもなく高い目標に見えてしまいます。
もう少子化は止められないでしょう。問題はインフラをどうするかですよ。1億2000万人で作ったインフラを国民5000万人で維持しなきゃいけない。
5000万人まで減りますか?
それは確実ですね。出生者50万人全員が100歳まで生きて5000万人ですから。下手したら3500万人ぐらいまで減るかもしれない。
確かに。5000万人ってそんなに遠い話じゃないですね。
そんな遠い話じゃないです。あらゆるものが変わっていきますよ。
日本のインフラも5000万人規模に作り替えなきゃいけないと。
住む場所とか学校とかすべて作り直さないといけない。
このままだと日本全国が空き家だらけになってしまいますね。
ある程度、都市に集中して住んでもらうしかないんですよ。
一極集中に反対する人もいますけど。そこで生まれ育った人は愛着もあるでしょうし。
東京だけに集中する必要はないですが、ある程度の集約は避けられないです。能登の地震もいま必死で復興してるけど「果たして復興した方がいいんだろうか」って議論を避けずにしないと。
うちの妻は輪島が大好きでして。棚田も綺麗だし、朝市も楽しいし、美味しいものがたくさんあるって。
おっしゃる通りなんですけど。人口減少時代にどれぐらいの人が輪島に残れるのかってことを冷静に考えないとダメです。
観光客にウケそうな場所ですけどね。伝統的な商品もたくさんあるし、いい宿もあるし。
能登輪島に集めるというのもひとつの手だと思います。その地域に住んでいる人は半径2キロメートルに全部集まってもらうとか。
岐阜の白川郷も観光客で成り立ってますもんね。
問題は中途半端な場所ですね。地元の人は思い入れがあるんだけどインフラを維持することができない。地方は一極集中を加速させないとダメだと思う。
都心部に住むか、観光資源のある場所に集中させるか。どちらかしかないと。
半径1キロに集まって住んでもらって、その700m圏内までは歩いて病院でもどこも行けるようにしないと。とてもじゃないけどインフラを全部維持するのは難しいですよ。
住み慣れた地元を離れなくちゃいけない人も出てくると。
この議論は本当に難しくて。必ず「俺たちを見捨てるのか」「切り捨てるのかお前らは」って言うんだけど。避けるわけにはいかないんですよ。
1億2000万人のインフラを5000万人で維持するって不可能ですよね。
不可能です。
すでに老朽化していますし。
もう修理もしていませんから。その財源もないし。ほったらかしですよ。
国としては「都心部に行きなさい」ってことですか。「集まって住みなさい」と。
東日本震災の時もそうでしたが、若い層は都市部に移住してしまいましたよね。
そうですね。
今回も年配の方は残りたいだろうけど、若手はもう金沢周辺に移住していて。県も応援してくれるから「そこで仕事を探そうか」っていう話になります。
オンライン勤務を増やしていけば地方でも稼げますけどね。
在宅リモート勤務は逆に減りつつあって。仮にオンラインで働くとしても最低限のインフラは必要ですから。
そうですよね。離島でオンライン仕事なんて現実的には不可能ですよね。
病院とか、電気、ガス、水道のインフラ、これが確保できないと住めないです。
近い将来、各都道府県で3つぐらいの都市に集中するんでしょうか。
いや1つでしょう。
1つ!
基本は1つ。あって2つだと思う。
そんなに減りますか。
人口が半分以下になるってそういうことでしょう。元々大都市には集中してるわけですから。47都道府県で平均的に2分の1になるわけじゃないってことですよ。
東京の人口が半分になるわけじゃないですもんね。
まず800校もある大学が淘汰されて一気に減っていくと思います。それが合図となってあらゆるインフラがなくなっていきますよ。
石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。