2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
第295回「人流をコントロールできる会社」
サービス業の人不足ってかなり深刻みたいですね。
サービス業の問題は、まずシフトの立て方が全然できていないこと。いらない時に人がダブついていて必要な時に人が足りない。
なぜそんなことが起きるんですか?
ひとつは店長の力量不足です。
能力が足りない人を店長にしていると?
シフトって、まずアルバイトやパートさんに希望を出してもらうわけですよ。それを調整するのが店長の仕事なんです。
はい。そういうイメージです。
ところが、勤務歴が長くて「仕事は出来るけどクセの強い」バイトやパートがいるわけですよ。要はこの人と店長との力関係なんです。
店長が上じゃないんですか?
店長よりも発言力を持っている古株パートみたいな人が必ず店舗にはいて。ここをきちっとマネジメントできないから歪になっちゃうわけです。
業務命令で決めちゃえばいいだけの気もしますが。
それが出来ないわけですよ。「私そんなの入れないから」「もうここは入るって決めてるんで」って言われちゃうと、「いや、ここは要らないからダメ」「ここは必要だから来て」って言えない。
それは厳しく言ったら辞めちゃうから?
実際そうなんですよ。そこの狭間で店長は悩むわけです。
それは店長というより会社の問題だと思いますけど。
そう。突き詰めていくと会社のなんです。そこを1番きっちりやっている会社がファーストリテイリング。
ユニクロさんですか。
ユニクロ。ユニクロのシフト管理は見事だと思います。
それは待遇がいいからでしょうか。辞めても代わりがいくらでも採用できるっていう。
それもありますが、すごくメリハリが効いてます。感謝祭で一気に集めたり。普段はゆったり買い物ができたり。
土日はすごい人ですけどね。
土日にすごく集中するけど平日にも流れるように、ユニクロはお客さんの量を調節しています。
平日はすごく空いているイメージですけど。
それでも他のサービス業に比べたら十分に集客が出来ています。
確かに。平日でもそこそこお客さんいますね。
そこがユニクロのすごいところですよ。人流をコントロールして、必要なところに必要な人的リソースを配分してる。
なぜ他の会社は同じように人流をコントロールしないんですか。
やらないというより出来ないんでしょうね。ユニクロってユニクロに行かないと買えないじゃないですか。
確かに。私も人混みが嫌だから平日に行きますね。ユニクロの商品が欲しい人は「人混みか平日か」どちらかに行かざるを得ないと。
おっしゃる通り。混雑が嫌なら自分で調整するしかない。
つまり理想的なシフトを組むには商品力やブランド力が必須ってことですね。
そう。ブランド力があればそこをコントロールできるわけですよ。だいぶ前だけどニトリも10時開店をやめて11時にしましたよね。
ニトリも商品力がありますもんね。
店長のシフトコントロールには限界がある。だからブランディングを含めて、お客さんをどの時間帯、どの曜日に誘導するかっていう設計がないと。もう採用だけでは解決できないです。
ディズニーランドも曜日によって価格を変えてますよね。
あれも同じです。人流をコントロールしているわけですよ。
安く遊びたいんだったら平日に会社を休んで来てくださいと。
そういうことです。
でもこれって大企業の特権じゃないんですか?
そうとは限りません。日本マクドナルドなんて現場のアルバイトが泣いてますよ。マクドナルドは人流をコントロール出来てないんです。
「どうしてもマクドナルドが食べたい」って人は少ないですもんね。しかもマクドナルドは大量に集客しなくちゃいけないし。
そこですよ。じつはブランド力があれば小さな会社のほうが人流をコントロールしやすいんです。逆に、これが出来ないサービス業は必ず人不足で破綻します。
石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。