2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
第332回「人口増加はキッパリ諦めよう」
「出生数70万人割れか?」ってニュースになってました。
だって増える要素がないですよ。「手取りを増やします」って言った政党があれだけ支持を集めるってことは、みんな貧しいんでしょう。
長らくデフレが続きましたけど、日本だけ物価が安いなんてもう無理ですよ。鎖国してるわけじゃないんだから。
しかもこの円安で。僕も娘を海外に行かせてるけどホント大変ですよ。
生活費だけでも凄いんじゃないですか。
うちは寮に入ってくれてるからまだマシだけど。それでも日本円にして月10万以上かかる。
カナダでしたっけ?
カナダの国立大学です。
向こうの国立は授業料も高いですよね?
高いんですよ。カナダ国民だとすごい安いんですけど。留学生は高い。
しかも石塚さんは、お子さんが1人じゃないし。
そうそう。3人いるから大変ですよ。
少子化になるのも分かりますよね。
仮に手取り所得が増えて、消費税を向こう5年取らないとなっても、果たして増えるかどうか。まず20代が安心して結婚しようと思わないと。子供なんかできませんよ。
20代で「結婚しよう」って思うほど所得がある人は少ないでしょうね。何も考えずに結婚しちゃう人はいますけど。ちゃんと考えてる人ほど30過ぎてからになっちゃう。
夫婦ともに「そこそこ安定したキャリアを築けてから」ってなったら、遅くなりますよ。
経済状況が結婚数に影響してるってことですね。
めちゃくちゃしてると思います。家も高くなってるし、手取りの金額はどんどん減っていくし。これで物価が上がっていくから更にきつい。
地方だとそんなにお金がかからないイメージですけど。
僕は地方の求人もお手伝いしてますけど、正直「よくぞこれで暮らしてるな」という水準ですよ。しかも手取りにすると半分近く持っていかれて。
所得税だけじゃないですもんね。社会保険料は高いし、消費税は高いし、なんだかんだで引かれて。今や年収1000万でも裕福な暮らしは出来ないのに。
1000万で子供2人を希望する大学に行かせるって、かなり厳しいですよ。
そうなるとやっぱり1人かなって思っちゃいますね。
日本人は中長期を見渡して安心じゃないと行動しないから。「先がどうなるかわかりません」っていう状況だとみんな止まってしまう。
そういう国民性ですよね。仮に税金を減らしても出生率が2.1を超えるとは思えないです。
無理でしょう。人口5000万人切るところまではもう確実でしょう。もし安田さんが総理大臣だったら、どうやって出生率2.1にします?
無理でしょうね。本気で人口を増やすなら移民を受け入れるしかないです。
そうすると犯罪も増えるし。
日本のカルチャー試験みたいなものを取り入れて、「日本が大好き」という人だけ来てもらうとか。犯罪歴もなく、日本の知識もあり、日本の文化も大好きな人だけを増やしていく。
ほとんどいないでしょ(笑)それ合格する人。
確かに(笑)もし私が総理大臣だったら人口を増やすことを諦めますね。そして1人当たりの生産性をとにかく増やしていく。人口が5000万人になっても今のGDPを維持できるように。
それが答えなのかもしれませんね。
人口なんて増やそうとしたって無理ですよ。移民を5000万人も受け入れたら、もう日本じゃなくなっちゃうし。
おっしゃる通り。ヨーロッパみたいに治安も悪くなっちゃうし。
少なくともカルチャーは激変するでしょうね。
今でもイスラム教の人が「土葬を認めろ」って言ってきてますよね。市議会議員に当選して「土葬を認めるように頑張ります」みたいなこと言って。
民主主義ですから。外国人の数が増えれば当然法律も変わります。
外国人の参政権をどこまで認めるかっていう話がありますけど。
本気で人口を増やすんだったら認めるしかない。だから人口を増やすということが現実的じゃないんですよ。
出生率が70万人割れして学習塾の倒産も過去最高っていう。大学も定員割れでどんどん潰れていくし。旧帝大と早慶以外は誰でも入れるようになって、もう全てが変わっちゃう。
変わっちゃうことを前提にするしかありません。それに合わせて社会も作り変えていかないと。
そうですね。江戸時代ぐらいの人数で「楽しくやろうよ」って考えるしかない。
石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。