この記事について
2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
前回は 第364回「外国人の移住と日本語について」
第365回「理系女子の活用について」
安田
石塚
増えてるし、増やそうともしてますよ。いわゆるスティーム分野で。
安田
石塚
STEAM(スティーム)はサイエンス、テクノロジー、エンジニア、アート、マスマティックスの頭文字です。今はMの前にAが来るんですよ。
安田
石塚
理系分野だけの時はステム。アートを入れてスティームと表現することが多いです。これから重要となる分野の通称ですね。
安田
石塚
安田さんの息子さんも小学校でSTEAMの影響を受けると思いますよ。
安田
うちの子はまだ5歳ですが数字と算数が大好きです。時代に合っているのかも(笑)
石塚
安田
石塚
古い古い。実は日本人女子の理数系能力って世界的に見てもトップレベルなんですよ。
安田
そうなんですか?意外ですね。「女子は文系」みたいな偏見があるんでしょうか。
石塚
これは女性活用にも通じますけど。日本人の男子ってデキるバリキャリ女子が嫌いなんですよ。
安田
確かに。自分より弱い女子を求める傾向がありますね。
石塚
欧米はバリキャリ同士でくっつくイメージがあるじゃないですか。
安田
ありますね。でも日本人男子って「自分が守ってあげなくちゃ」が好きだから。
石塚
そうなんですよ。だからバリキャリ女子が嫌いで。優秀な男ほどバリキャリ嫌いですよ。
安田
石塚
いや、僕もそうですよ。でも日本の経営者ってバリキャリ女子を嫌いな人がめっちゃ多い。女性活用が進まない理由ってそこにあって。デキる女子が鼻につくというか。
安田
つまり「理系女子=出来る女子」という図式なんですか?
石塚
そう。だから日本の大学は女子を文学部や家政学部に閉じ込めようって意図が見え見えですよ。
安田
「女子はこのぐらいでやっときゃいいんだ」みたいな。
石塚
おっしゃる通り。ところがこの1〜2年、首都圏トップの進学校、あるいは女子校のトップ進学校の医学部進学率がすごく上がってるんです。
安田
医学部で「意図的に女子を落としてる」みたいなニュースもありましたけど。
石塚
あれも偏見ですよ。女子は医学部じゃなく薬学や看護に行った方がいいんだという先入観。
安田
石塚
じつは病院って企業よりも体質が古くて。女医さんは医師と看護師の間に位置づけられるんですって。
安田
石塚
医学界って頭が古いおじいちゃんが多いから。女医さんに対して「お前に何が出来るんだ」みたいな。
安田
石塚
「麻酔科あたりに行ったらどうだ」「女子は小児科でいいだろう」みたいな。
安田
小池都知事はそこに力を入れるみたいです。世界で競争力を高めるには理系に強くならないといけないし、そのためには女子の理系人材をもっと増やした方がいいって。
石塚
はい。その通りです。人手不足解消の1番有効な選択肢の1つは女性を増やすことですよ。
安田
女子大もどんどん理系学科を増やしているみたいですね。
石塚
おっしゃる通り。東京を中心とした名門女子大は非常に経営が厳しくなっていて。白百合女子大なんてその筆頭ですけど、共通点は看板が文学部や家政学部であること。もう学生が集まらない。
安田
石塚
そう。だから昭和女子大なんてコンピューターサイエンスとかファイナンスに力を入れてます。
安田
共働き時代ですからね。女性はお茶汲みとか言ってられないですよ。人生終盤まで稼げるスキルを身につけないと大変なことになる。
石塚
経済的自立がもう当たり前で。夫というATMがないと「私生きていけない」なんて生き方は選択しないんですよ。
安田
石塚
僕は建設系もおすすめですね。施工管理や現場監督の半分は女子になってほしい。
安田
現場監督ですか。さすがに男っぽいイメージですけど。
石塚
今の現場監督ってプロジェクトマネージャーなんですよ。女性は同時並行処理能力が高いから合っていて。いろんな役割の人に上手く目配りしながら進めるのが上手い。
安田
石塚
職人さんだって変なオヤジに「オイッ!」とか言われるより、女性に「これよろしくね」って言われた方が頑張る気になるじゃないですか。
安田
男女の理系比率は近いうちに50:50になりますか?
石塚
残念ながらそこまではいかないと思う。まだ頭が古い親も多いから。「そこまで頑張らなくてもいいんじゃないの」って。10年で1割増えたらいい感じでしょうね。
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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。