第372回「飲食店は理数系ビジネス?」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第371回「新卒が選ぶべき大企業とは」

 第372回「飲食店は理数系ビジネス?」 


安田

飲食店の7割が3年以内に潰れるそうです。とくに個人店が大変だとか。安く大量に売らなくちゃいけないチェーン店の方がしんどいイメージですけど。

石塚

単価が高くて集客力もある個人店はいいんですよ。一方で何も考えず店を出しちゃう人もいますから。どんどん新しいお店もできてきますし。

安田

ニュースによると日本は飲食店が多すぎるみたいですね。

石塚

多すぎます。

安田

これからインバウンドも増えて儲かるビジネスにも見えますけど。

石塚

インバウンドは狙い方次第ですね。例えば原宿にランチ6000円のとんかつ屋があって、今すごい人気なんですよ。

安田

ランチ6000円?

石塚

そう。ランチ6000円。でもドルで換算したら40ドルでしょ。海外はチップもあるから30ドルちょっとのイメージだと思う。

安田

確かに。高くは感じないでしょうね。

石塚

お客さんの半分はインバウンドらしくて。彼らにしたら安いから流行るわけですよ。

安田

日本人も半分いるんですね。6000円のランチなのに。

石塚

日本で開店する以上インバウンド100%ってあり得ないので。インバウンド+この金額を出せる日本人がターゲットですね。

安田

集客できているところが凄いです。

石塚

6000円のトンカツでも集客できる「何か」があるってことです。ちなみにこの店はフランス料理ばりにコースになっていて、1品1品説明するんですって。

安田

なるほど。普通のトンカツ屋とは違う商品を売っているわけですね。

石塚

そう。やっぱり高単価にするには工夫が必要ですよ。

安田

自分で飲食店をやろうと思ったことはないんですが、もしやるなら私も絶対に単価の高い店を作ります。

石塚

そりゃそうですよ。安い店で大量に売る戦略はどう考えても個人店に向かない。大手に勝てるわけない。

安田

バイトを雇うにも不利だし。普通に考えたらそうなる気がするんですけど。なぜこんなにも安い個人店が多いのか不思議でしょうがないです。

石塚

正直に言えば「レベルがそんなに高くない人」が多いってことじゃないですか。

安田

なるほど。

石塚

もし飲食やるとしたら何屋さんやりますか?

安田

自分に調理能力があるかどうかで変わりますね。

石塚

仮にその調理能力があるとして。

安田

調理能力があるなら和食でしょうね。割烹とか寿司とか。

石塚

そうすると仕入れルートがキモになりますね。僕は自分でやるなら焼き鳥と決めています。

安田

なぜ焼き鳥なんですか?

石塚

仕入れさえ頑張ればものすごく利益率が高いから。日常性も高いし。

安田

確かに毎日でも食べられますね。私も大好きです。ただ焼き鳥は単価を上げるには限界がある気がします。

石塚

単価はそんなに追わなくていいんです。お店とテイクアウトの両方で、週に1〜2回は寄ってもらえるような日常性の高い業態でやりたい。

安田

なるほど。焼き鳥のテイクアウトは儲かりそうですね。高い焼き鳥店はちょっとイメージできないですけど。

石塚

それは難しいでしょうね。焼き鳥ってお店の数も多いし。

安田

こだわりの店も多いですよ。備長炭とか。でも集客力のある焼き鳥屋は確かに儲かってます。それなりに単価も高くて。

石塚

僕だったら練馬とか板橋とか庶民的なところに「都心レベルのクオリティ」を持ってくる。そして少し安くやれば「ここ美味しいよ」って流行る。

安田

すごく考えていますね。

石塚

飲食店って結局はロジックなんですよ。客単価と席数と滞在時間をきちっと計算した上で、理詰めでやらないと儲からない。立地、出店も含めて、飲食は理数系ビジネスです。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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