このコラムについて
小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?
と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。
「今更ですが…。あのトースターってなんで売れているんだろう?という小さなブルーオーシャン」
「当時社員数50人。そこから生まれたヒット商品は『コンセプト重視』」
バルミューダ株式会社
という企業をご存知ですか?
「あっ、知ってる!」
という人も多いでしょう。
そうです。
あの高いトースターを
製造、販売している会社です。
数千円で購入できるトースター。
バルミューダ製はなんと、
税抜き2万5,400円という価格。
これでも、売れ続けているわけです。
こうした現実を見ると、
なんで、売れるんだろう?
成功の要因はなんだろう?
と思うのは、私だけでしょうか?
成功の秘訣を調べていくと、
大抵は以下の4点になります。
デザイン性
高品質
マーケティング戦略の成功
技術力
いや、そうなんですが…
どうも私は承服しかねるというか…、
何か引っかかると言うか…。
確かに、バルミューダのトースターは
従来の家電製品とは異なる、
美しいフォルムで、
カラーバリエーションも豊富です。
さらには、高級感やエレガントさ、
独自の技術力もあり、
従来のトースターとは異なる角度で
食パンを挟むことで、
焼きムラを抑える技術を採用しています。
でもこれって、
どの企業でもそうだと思うんです。
みんなどこも努力しているし、
頑張っているし、
大企業であれば、資金を投下して、
有名デザイナーさんに発注したり、
技術開発をしたり、
マーケティングだってTVCMを
ばんばん流すじゃないですか。
誤解を恐れずに、
失礼を承知で言うと、
東京都下、武蔵野市にある
バルミューダ株式会社という
企業が、大手有名企業に勝てる
要素が見当たりません。
もし、言えるとしたら…
他の大企業を含む企業が
このトースターという市場
(と言えるかどうかはわかりませんが)
に注目せずに、上を目指すことを
サボっていた…。
Gerd AltmannによるPixabayからの画像
色々調べているうちに、
社長である寺尾玄氏に
たどり着きました。
寺尾玄氏は、
商品を開発する上で、
まず、何をお客さまに提供できるのか
を考え、この段階で商品のことは考えて
いないそうです。
いまの時代は、
モノを買うことではなく、
“体験を買う”時代。
モノやサービスを使うことで、
どういった体験ができるのか。
そこに興味があるので、
「ものすごいトースターを完成させました!」
では、なかなか通用しないと考え、
体験のために道具をつくる
という発想なんだそうです。
そのために必要なのが
「コンセプト」
今回の主役である
トースターのコンセプトは
「世界一おいしいトーストを再現させる」
こと。
この体験をしてもらうために、
何をすればいいのか。
どういった技術が必要なのか。
アイデアを出せるだけ出し、
取捨選択をして、
仮説を立て、
実験をする。
毎日のように「もうダメだ」と
思っているらしいです。
しかし、
最初に決めたコンセプトからブレない。
絶対にゴールのテープを切りたい。
という強い思いだけで、
商品開発をしていくそうです。
商品開発をするのに、
「商品」を考えるのは当たり前です。
しかし、何が売れるのか?
というマーケティング重視の
「商品」では売れなくなってきている
ということなのでしょう。
今回のトースターで言えば、
店頭に並ぶのは価格の安い「商品」ばかり。
値段で勝負、というところであって、
消費者が想像している
「毎朝おいしいトーストを食べる」
という体験からはほど遠いということ
なのでしょう。
バルミューダ製のトースターが、
価格が高くても売れる理由。
それは、
「コンセプト重視で、ブレることがない」
ということなのではないでしょうか。
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バルミューダ株式会社
東京都武蔵野市
URL https://corp.balmuda.com/
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