第173回「スクラムセールスという小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「スクラムセールスという小さなブルーオーシャン」


私の趣味の一つに
「野球」があります。
以前は草野球チームに
所属してプレイを
していたのですが、
いまは所属していないので、
もっぱらプロ野球観戦です。

野球に限らず、
チームスポーツというのは、
それぞれに役割があり、
その役割の中で
ハイパフォーマンスを
上げるように指導、
トレーニングがされます。
例えば、野球で言うところの
「ピッチャー」。
以前は、9回まで一人で完投する
ことが求められていましたが、
現在は、先発、中継ぎ、
セットアッパー、クローザー
とはっきり分かれています。

これって、仕事、
特に営業で使えないかな?
と思い、お客さまに
提案したことがありましたが、
受け入れてもらえませんでした(笑)

それはいいとして、
「スクラムセールス」という手法で
売上を4.5倍にしたという会社が
あるそうです。

「スクラムセールスってナニ?」

そもそも「スクラムセールス」って
なんだろう?と思い、調べてみると、
「スクラム」というソフトウェア開発における
プロジェクト管理手法の考え方を
営業活動に応用したセールス手法らしいです。

この手法を使い、1年間で新規受注額を
4.5倍に拡大させた会社があります。

株式会社cocoという会社です。

「全社員で全クライアントの対応をする」

大抵、中小企業ですと、
営業担当者が引き続き、
クライアントを担当するという
ことが多いと思います。

このスクラムセールスの要点は、
全員が全クライアント・プロセスに
対応するということ。

一見すると非常に非効率のよう。

しかし、ビジネスの機動力や
多様性を向上させるんだそうです。

営業担当者だけでなく、
チーム全体でリード獲得から
カスタマーサクセスまでを
担当することで、
商談の連続性を高め、
顧客対応の質を平準化
するんだそう。

でも、疑問なのは
どのように情報を共有するか?

株式会社cocoでは
情報共有の徹底をしており、
ドキュメント化や動画で商談内容を残すことで、
商談の属人化を防ぎ、休暇中でも
他のメンバーが対応できるように
なっているそうです。

これにより、個々人の能力や生産性向上という
副次的効果も生まれているんだとか。

「中小企業は全社でクライアントを支える方がいいのでは?」

経営者からすると、
この手法は人手も手間もかかるように
思えます。

ところが実は逆だったようで…
同社は採用に力を入れ、
さらにサービス成長につなげようと
意気込んでいたそう。
ところが、人はすごく増えたのに
受注につながらず焦る。
生産性の壁にもぶつかり、人手不足だから
受注につながらないのか、
また違った要因があるのか……と悩み
仕組み化できないかと模索していた
背景から自然とスクラムセールスに
たどり着いたんだとか。

もちろん、扱っている商品やサービス、
状況などの相性もあるでしょう。

しかし、スクラムセールスを
取り入れることで、
柔軟性、情報共有、
非同期コミュニケーションの活用など、
メリットもあるように思えます。

いまの営業手法を見直し、
変えていくことで、
社内に変化も生まれ、
売上アップ、組織活性化に
つながるかもしれません。

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株式会社coco
東京都渋谷区
https://thecoco.jp/
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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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