清水 Air
博士課程(哲学専攻)を中退後は塾講師として働く。2016年からWeb業界に参入。YouTubeチャンネルを開設後は自身のビジネスや、哲学、書籍にかんする情報を発信。 Kindle出版の著者として、同時にコンサルティング編集者としても活動中。ときどき小説も書く。
YouTubeで売れている商品とその手法
– – – 目次 – – –
YouTubeを見れば商品が欲しくなる?
安田
ユーチューバーじゃないYouTubeを使った稼ぎ方。それは自分の商品を売ることだと。
清水
そうです。
安田
YouTubeではあまりそういう動画を見かけないですけど。
清水
たぶん意識してないからですよ。僕はけっこう見ます。
安田
私には見えていないだけだと。
清水
そういう見方をしないと見えてこないですね。YouTubeを使って「自分の商品を売ってます」とは、どこにも書かれてないので。
安田
なるほど。清水さんはどうやって見分けてるんですか。
清水
導線を見ればある程度予想できます。ああこの人はこの商品を売りたいんだなって。
安田
へぇ~。でも、売れているかどうかまでは、分かりませんよね。
清水
それは動画を見ただけでは分からないです。なので僕は直接会いに行って話を聞いたりします。
安田
え!聞きに行くんですか?
清水
はい。知り合いとか。そのツテとかで。
安田
すごいというか厚かましいというか(笑)
清水
いろいろ研究させていただきました(笑)まあ、会うまでしなくても、継続的に動画を視聴したり概要欄のリンクからその人のサイトやSNSをチェックしていくと、かなり見えてくるものがあります。
安田
じゃあこの人は「すごくうまくやってる」という例も知ってるわけですね。
清水
はい。知ってます。
安田
ぜひ教えて欲しいです。「この動画と、この商品の売り方は、すごく上手だからチェックしたほうがいい」みたいなの。
清水
そうですね。何系がいいかな。たとえば小説家の鈴木輝一郎さんという方がいて、その方は「新人賞をとるためのオンラインの小説講座」をやってるんですよ。
安田
オンライン小説講座?
清水
はい。YouTubeの登録者はそれほど多くはないですけど、スクールに入っている人が100人以上いるらしいです。僕も一時期入ってましたが、けっこう盛況です。
安田
それは小説を書くためのスクールですか。
清水
そうです。
本が欲しいは二の次でムーブメントにのりたい
安田
やっぱり物販よりサービスを売るほうが多いんですか。
清水
数えたわけじゃないですけど、サービスを売るほうが多い気がします。
安田
やっぱりそうですよね。
清水
もちろん物販もあります。たとえば「一月万冊(ひとつきまんさつ)」という商品があって。動画で本を売ってます。
安田
本なんて売って儲かるんですか?
清水
本1冊3万円とか3万5,000円とかするんですよ。
安田
なんと!そんな高い本が売れるんですか。
清水
本の内容に関する解説動画を付けてまして。それで価値が上がるんです。でも形としては本を売っていて、限定で見られる解説動画がついてくる感じ。
安田
オリエンタルラジオのあっちゃんが、ビジネス書の解説とかもやってますよね。
清水
はい。けっこう丁寧にやってます。
安田
あれがタダで見られるのに、有料でわざわざ本の解説を買う人がいるんですか?
清水
僕も1冊買いましたよ、3万円で。
安田
へぇ~。それは動画が見たくて買うんですか。
清水
そうですね。動画が見たいのが第一。あとはムーブメントに乗っかりたくて。
安田
ムーブメント?
清水
「出版のあり方を変えていこう」みたいなムーブメント。それにすごく興味があって。あとはビジネス目線で、支払い方法をどうしてるのか、どんなふうに発送されてくるのか、購入者だけの特典みたいなものはあるのか、そういった情報を知りたくて買ってみました。
安田
なるほど、研究熱心ですね。ちなみに本自体は市販している本なんですか。
清水
僕が買った本は昔市販していて、今は絶版になった本です。
安田
へぇ~。
清水
絶版になっちゃったのを復刊したものですね。
安田
つまり、ここじゃないと買えない。
清水
普通には買えないですね。
安田
だから本自体にも価値があるってことですか。
清水
そうですね。読みたかったらたぶん買うしかない。もしくは図書館で借りるか。
安田
もし動画がなくて本だけだったら、いくらぐらいの価値があるんですか。
清水
もし普通に市販しようと思ったら、たぶん2,000円とかだと思います。物としての価値は。
安田
清水さんも本だけだったら3万円は出さなかったですか。
清水
出さないですね。
安田
なるほど。ちなみに何分ぐらいの動画なんですか。
清水
1時間ぐらいの動画が10本とか。
安田
すごいですね。そんなにしゃべることあるんですか?1冊の本に関して。
清水
本自体がすごくむずかしくて。かみ砕いて説明していくと結構長くなるんです。
安田
ちなみにどんな本ですか。
清水
「複雑さを生きる」というタイトルで、中身はなかなか簡単に言いづらいんですけど。
安田
哲学書ですか。
清水
哲学に近いですね。第1章・知るということ。第2章・関係のダイナミクス。
安田
いかにも難しそうですね。
清水
ざっくりいうと、「なにか計画を立てて、計画どおり合理的に物事を進めていくのは難しい。もっと柔らかく考えてやっていくといいよ」っていう。
知名度が低くてもコアなファンがいれば
安田
結論だけ聞いたら「3万円の価値があるのか?」って感じですね(笑)
清水
そうですね(笑)
安田
まあビジネス書なんてそういうものですから。
清水
ですね。
安田
そんなシンプルな結論を、何時間もかけて説明することがあるんですか。
清水
この著者の方は話がすごく飛ぶんですよ。しかもいろんな分野に飛ぶ。複雑性科学だったり、哲学だったり、経済だったり。
安田
私、YouTubeでよく養老孟司さんの動画を見るんですけど。
清水
僕もちょいちょい見てますよ。
安田
ものすごく難しい話なんですけど面白くて。
清水
よく分かります。
安田
あれって養老さんの知名度があるから成り立っているわけで。こんなこと言ったら怒られそうですけど、見てる人はほとんど話を理解できてないと思う。
清水
そうでしょうね。たぶん養老さんが好きで見てるんですよ。
安田
まさに知名度勝負みたいな動画ですよね。「誰が解説するか」が重要で。つまり無名の人が解説しても売れないと思うわけです。
清水
私が買った本の著者は安冨さんと言って、一部の人にはまあまあ有名なんです。
安田
すごく有名じゃないけど一部に熱烈なファンがいると。
清水
あとは解説のやり方が面白くて。対談形式なんですけど。
安田
誰との対談なんですか。
清水
ホストの清水有高(ゆうこう)さんという方です。一月万冊という商品は清水さんの商品なんです。
安田
ということは集客や販売はホストの清水がやっているんですか。
清水
そうです。仕組み自体は清水さんが考えて、本の内容に関しては著者が語る。それを分かりやすく引き出すのがホストの役割。
安田
なるほど。だからビジネスとして成り立つんですね。人の本を勝手に解説して成り立つのかなと思ったんですけど。
清水
そうなんですよ。うまく考えられてます。
安田
知る人ぞ知る「マニアックな本」があって、その本のファンがいて、それに対して著者との対談で詳しく切り込んでいく動画が付いてくると。
清水
おっしゃる通りです。本のコンテンツに関しては安冨さんが解説して、YouTube上での宣伝、集客の部分をホストの清水さんがやってる。
安田
私も「千円札は拾うな」という本を出してまして。あれを対談形式で解説しているみたいなものですね。
清水
そういうことです。それを買う人が結構いるんです。
安田
対談での引き出し方が上手なんですか。
清水
引き出し方と、あとは制御の仕方が上手です。著者が難しい話や専門的な話に入り込みそうになると、広く一般的に理解できそうな話に誘導して。
安田
ホストの清水さんってどんな人ですか?同じ清水さんですけれど親戚ではないですよね。
清水
元々はアニメ・マンガ関係の人材紹介をやってた人みたいです。私とはぜんぜん関係ないです(笑)
>>第4回「YouTubeの機能を使い倒せ!」へ続く