五十六謀星もっちぃ
大学進学のために上京。老舗占い館にて占い師デビュー。
一瞬の迷いの後、安定の誘惑を振り捨てて、就職をせずに占いの道に専念。電話占い師として活動開始。
電話占い新人採用試験の審査員を担当、著書『はじめよう電話占い師』を刊行するなど、以後、講師としても多方面に活動。
大学1年でプロの占い師!?
– – – 目次 – – –
動機は「学生のうちに面白いことをやりたい」
安田
大学1年生のときに占い師を始めたんですよね。
もっちぃ
そうです。大学1年生、19歳で占い師デビューしました。
安田
元々占いには興味があったんですか?
もっちぃ
少し興味をもっていたぐらいです。ずっと子どものときから、占いをやってるイメージを持たれるんですけど(笑)それほどでもないんですよ。
安田
へぇ~
もっちぃ
最初は中学生のときに、札幌の東急ハンズでタロット占いを買って。まあ完全に趣味ですね。少し占いが好きな程度という感じでした。
安田
なぜ占い師を、しかも大学1年生でやろうと思ったんですか?
もっちぃ
僕は札幌から上京して来たんですけど。何か学生のうちにやらないと面白くないと思いまして。
安田
大学生なら普通はサークルとかですよね。
もっちぃ
仕事として成立するものがやりたくて。占いは好きでしたし、そこに需要とか面白い世界があるんじゃないかと感じて。
安田
仕事だったら、普通は居酒屋のバイトとか、家庭教師とか、そっちに行くと思うんですけど。
もっちぃ
「お小遣い稼ぎのために」というのがメインではなかったんです。
安田
じゃあ起業の準備みたいなイメージですか。
もっちぃ
そうですね、はい。
安田
起業家志向で占いを選ぶって、なかなかいないですよ(笑)
もっちぃ
起業と言っても、会社にして人を雇うことを考えていたわけではなくて。手に職みたいな、職人みたいになれたらいいなと思ってました。
安田
だったら大学に行かなくてもいいような気がするんですけど。
もっちぃ
そうですね。結果としてはそうだったと思います。
安田
大学もしっかり卒業したわけですよね。
もっちぃ
4年半かかりましたけど。ちゃんと卒業しました。
安田
自分のなかでどうやってバランスを取ってたんですか。
もっちぃ
もし占いというのが現実的じゃなければ、普通に就職するという選択肢もありました。
安田
つまり選択肢を増やすという意味で大学に行き、占い師もやってみたと。
もっちぃ
そうですね。
安田
それで1年で食えるようになったんでしたっけ?
もっちぃ
いや、2年ぐらいはかかったと思います。
安田
最初は無料でやってたんですか?
もっちぃ
いえ、最初から有料でした。
安田
すごいですね。いくらでやってたんですか。
もっちぃ
デビューしたときは20分3,000円だったと思います。
安田
それは学校の中で?
もっちぃ
いえ、学校のなかじゃなく飯田橋の駅ビルです。そこに占い館があって面接に行ったら受かったんです。
安田
面接?ということは「サラリーマン占い師」だったんですか。
もっちぃ
サラリーマンではないんですが(笑)業務委託という感じ。
安田
つまり歩合制の仕事ですか。
もっちぃ
そうですね。会社がいろんな場所にブースを持ってるんですよ。
安田
へぇ~
もっちぃ
マリフォーチュンという会社だったんですが、いろんな駅ビルにブースを出していて。そこに出店する占い師がオーディションで選ばれるというシステムでした。自分で作ってないんですか。
安田
家賃を払うんですか?
もっちぃ
いえ、鑑定料20分3,000円をもらったら、それを会社と折半する仕組みです。
安田
場所は無料で貸してくれると。
もっちぃ
そうです。
ビルのブース営業からクラブイベントへ
安田
集客は誰がやるんですか?。
もっちぃ
看板を見た人が来るぐらいで、いま風の集客なんてまったくなかったです。
安田
まだスマホがない頃ですか。
もっちぃ
スマホは発売されてましたけど、まだみんなが持ってない状態でした。
安田
そんな看板だけで、お客さんって来るんですか。
もっちぃ
いや、ほとんど来ないです(笑)
安田
ですよね(笑)
もっちぃ
最初の月は1人か2人。それで終わりです。
安田
お客さんが来ないときも、そこにずっと座ってるんですか。
もっちぃ
ずっと座ってます。
安田
1日何時間ぐらい?
もっちぃ
たぶん8時間ぐらい座ったんじゃないかな。ほとんど座ってるだけの仕事でした。
安田
お客さんが来ない時は何をやってたんですか。
もっちぃ
隣に先輩の占い師さんがいたので、その人と話をしたり。本を読んで占いの勉強をしたり。
安田
どういうきっかけでお客さんが来るようになったんですか。
もっちぃ
その会社にいる間には全くダメでした。それでクラブイベントに出ることにしたんです。
安田
ほお。どんなイベントですか。
もっちぃ
普通に音楽のイベントなんですけど。クラブって手持ち無沙汰な人がいるじゃないですか。
安田
そうなんですか。
もっちぃ
踊ったりお酒を飲んだりするのに疲れて、誰かと話したくなる瞬間があるんですよ。そこにブースを出させてもらって、5分で1000円もらう仕組みでやりました。
安田
へえ〜
もっちぃ
うるさい場所なのですごくコミュニケーションはとりづらいんですけど。大きい声で頑張って占いをやって、最初のお客さんが当たると「あの子当たるよ」みたいに、せまい箱のなかで評判になっていって。
安田
けっこう稼げたんですか。
もっちぃ
うまくいくと一晩で10人とか20人とか。1〜2万のお金になりました。
安田
それはクラブと折半するんですか?
もっちぃ
出店料を払う場合もありましたし、気のいいオーナーさんだったら「好きなようにやっていいよ。そのかわりお酒飲んでってね」みたいな。
安田
へぇ~。それで徐々に生計を立てられるようになっていったと。
もっちぃ
そうですね。
安田
それは占いを始めてからどれぐらいの時ですか。
もっちぃ
1年目の後半ぐらいにはその方式を見つけて、うまくいくようになったのは大学2年生の中盤ぐらいかな。
安田
大学2年のときには、もう生活費を稼げるようになっていたと。
もっちぃ
そうですね。月にもよりましたけど、だいたい生活費は稼げるようになってました。
安田
平均したら、いくらぐらい?
もっちぃ
20万行かないぐらいですね。
安田
大したもんですね。それを卒業するまで続けてたんですか。
もっちぃ
いえ。途中から横浜の中華街に出ることにしたんです。横浜中華街ってラーメン屋より手相占いのほうが多いんです。
安田
そうなんですか!
もっちぃ
そこなら大声を出さなくてもいいし、もっと楽にいけるんじゃないかと思いまして。
安田
結果はどうだったんですか?
もっちぃ
中華街に行ってから月20万中盤ぐらいまで稼げるようになりました。
安田
もう就職する必要がないですね。
もっちぃ
そうなんです。
安田
「就職するか、占い師になるか」というところでは、どういう決断をしたんですか。
もっちぃ
出版社で働きたいと言う気持ちがありまして。せっかく大学に行ったので大手出版社を5つぐらい受けました。
安田
受かったんですか?
もっちぃ
いえ、全部落ちました(笑)それで就職は「諦めよう」と。
安田
出版社に受かってたら占い師になっていないかもしれない?
もっちぃ
もし講談社に受かっていたら、たぶん講談社に行ったでしょうね。
安田
へぇ~、人生分からないもんですね。
もっちぃ
まあ最初から受かる見込みはまったくなかったですけど。
安田
結論的にはどうなんですか。占い師になってよかったですか?
もっちぃ
もちろんそうですね。
安田
「講談社さん、落としてくれてありがとう」と(笑)
もっちぃ
はい(笑)
安田
出版社しか受けなかったんですか?
もっちぃ
いえ。それこそワイキューブさんも受けさせてもらって。
安田
おお!ありがとうございます。
第2話「100人いれば100通りのビジネス」へ続く