地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第3回 ケーキ屋さんを潰して、ケーキ屋さんを作った男

そりゃそうですよ(笑)。だって、言うなれば「ケーキ屋さんを潰してケーキ屋さんを作った」わけでしょ? 同じ業態なんですから、壁紙を張り替えたり、内装をちょっといじるくらいでもいいんじゃないんですか。

父にも同じようなことを言われましたね(笑)。「別に全部壊さないでもええじゃないか。店名を変えたり並べるお菓子を変えたりするだけじゃダメなんか?」って。今から考えれば父の言うことはもっともなんですが、当時の僕は「中途半端なリニューアルオープン」にはしたくなくて。

なるほど、確かに仰る通りかもしれません。とはいえですよ? スギタさんはその時点ではまだ「仕上げ」しかできなかったんですよね? 「仕込み」の方は全然できなかった。

そうなんですよね。というか実はその400万円の貯金って、半分は結婚資金でもあったんですよ(笑)。それを全部突っ込む上に、妻のご両親からいただいた結婚のお祝い金も、すべてまとめて新店舗の改装費に充てて(笑)。

まさにそうなんです。実は同じことをダニエルのカフェでもやっていたんですが、これが神戸のマダムたちに大人気で。「どれを選んでもいいんですかぁ!」ってキャーキャー喜んでくださるんですよ(笑)。それで、これは絶対自分の店でもやろうと決めていました。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。