地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第50回 オンライン販売に必要な「もう一つの要素」とは?

今日は以前から提案している「オンライン販売」についてお話したいんです。対談でも何度もお話してますし、そろそろスギタさんも前向きに取り組む気持ちになっているんじゃないかなと(笑)。

そうですそうです。もし始めるとしたら、どんな方向性で考えますか? 例えば前回お話したチーズタルトのように、全国的に爆発的に売れる商品を目指すのか。それともある程度の売上を維持しながら、孫の代まで続くような長期的な展開を考えるのか。

そうですね。ただ、長く続けることだけを考えていると、どうしても保守的なものになってしまって、いわゆる「ヒット商品」が生まれづらいんですよね。どうすれば「買いたい」と思ってもらえるか、の戦略はしっかり考えないといけない。

ええ。そういう新しい発想があって初めて「食べてみたい」と思ってもらえるんじゃないかと。ラスクもシュトーレンも、安田さんをはじめ皆さん美味しいと言ってくださるんですけど、オンラインで販売するにはもう一つエッセンスが足りない気がしていて。

1000個くらい売れたら成立すると思います。現実的にも目指せる数字だと思いますし、経営にもいい影響が出てくるレベルかなと。逆に1万個とかになってくると、大量生産の体制を整えなければいけないので、ちょっと方向性が違ってくる気がしますね。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。