地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第52回 経営者が進めるべきは「自分のAI化」?

今はAIの進化の勢いがすごいですよね。中国も新しいAIを出しましたし、ChatGPTの最新版がまたすごくて。毎月200ドル、日本円で3万円くらいするんですけど、どんどん情報を読み込ませていくと、私が考えそうな商品や書きそうな文章を代わりに作ってくれるんです。

そうなんですよ。店長が何時間もかけて考えていたシフトも、ChatGPTなら一瞬で作成できるし、修正もあっという間だと。あんまりびっくりしていたら、「わからないことは何でもChatGPTに聞けばいいんですよ」なんて言われて。

なるほどなぁ。確かにInstagramの投稿や商品開発、パッケージデザインもAIがやる時代ですもんね。一瞬で何十種類もデザイン案を出してくれて、デザイナーに依頼する必要もなくなるかもしれません。

確かにそうですよね。うちの店では数年前からリクルートの「Airレジ」を導入してるんですが、何曜日にどの商品がどれだけ売れたか、すべてのデータが蓄積されてるんです。そのデータを利用すれば、より緻密な戦略も立てられるようになるわけで。

そういったデータ管理的なものはもちろん、人間が仕込みをしなくてもよくなる時代が来るかもしれませんよ。スギタさんが休んでいても、AIが的確な指示を出してくれるようになって、作業自体もAIがやってくれる未来が実現するかもしれない。

そうそう。だからスギタさんの情報をすべて学習したAIがいれば、3ヶ月くらいマラソンでいなくてもお店が回るようになりますよ(笑)。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。