さよなら採用ビジネス 第102回「休み続けたその先は?」

この記事について

7年前に採用ビジネスやめた安田佳生と、今年に入って採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第101回『英断か無謀か。コロナ解雇』

 第102回「休み続けたその先は?」 


安田

サラリーマンと経営者の対立構図みたいなものが、このコロナによって出てくる気がしてまして。

石塚

同感です。

安田

たとえば「緊急事態宣言を続けるべきだ」って意見が多いんですけど。まわりの経営者は「これ以上続けて国民を殺す気か」って言ってます。

石塚

まったく同感です。一刻も早くすべて解除して元に戻すべき。

安田

でも現実的にそんな勇気がないじゃないですか、わが国の総理も。

石塚

残念ながら。

安田

国民の多くは会社員なので「そんな危険な場所に出社させんのか!」って言われる。

石塚

休んでても給料が出るんだから。「もっと落ち着くまで休ませてよ。その分の補償を国がやればいいじゃん」というのが彼らの主張。

安田

経営者は「そんなとことしてたら行き倒れになる」という危機感があるわけで。この対立構造がより鮮明になる気がします。

石塚

とくに飲食業界は大変なことになってます。

安田

ですよね。

石塚

国は「申し訳ないけど営業を休んでくれ。でも、倒れたらあなたの責任だから」って言ってるのと同じ。

安田

ひどい話ですよね。

石塚

上級国民を気取ってるホワイトカラー、いわゆる有名大企業のサラリーマンはそのへんの感覚が鈍い。

安田

鈍そうですね。

石塚

でもいずれ来ますからね。ものすごい相乗効果で。

安田

必ず全業種に影響は出ますよ。

石塚

これだけ一気に経済を止めたら落ちるに決まってる。1991年の「バブル退治」を思い出しますよ。

安田

バブル退治?

石塚

当時、日銀総裁の三重野さんが「バブル退治」とか言って、総量規制をかけて。一気に不景気になった。

安田

なるほど。

石塚

勉強秀才が考えることってだいたいそう。まったくのゼロリスクを求めたり。全部なくならないと解除できないとか。

安田

コロナが完全になくなることって考えられないですよね。

石塚

無理です、無理です。メディアの報道にも問題がある。世界トップクラスで死者数が少なくて感染爆発を防げてるのは日本なのに。

安田

そうですよね。欧米とはぜんぜん状況が違います。

石塚

それなのに「どんどん増えてます」って、不安をあおって。実際には早くから減り始めてた。

安田

「なんで減ってるのか」「なんで死者が少ないのか」って理由がわからないらしいです。

石塚

抗体検査を徹底的にやるべきなんです。

安田

「東京ではかなりの人数が抗体を持ってるかも」と言われてますね。

石塚

「新型だから何が起こるかわからない」ってところで、不安を煽りすぎ。

安田

テレビはいつもそうですから。視聴率しか見てないので。

石塚

専門家会議だって「会議」より「懐疑」に変えたほうがいいぐらい。煽ることばっかりで。

安田

専門家の意見は意見として、政治判断が出来ればいいんですけど。

石塚

誰も責任負いたくないから。

安田

「俺が責任持つから」って言える気概のあるリーダーが少なすぎ。

石塚

「田中角栄さんが生きてたら、どんなことを言ったかな」って思います。

安田

経営者は「国の言うとおりにやってたらもたない」って実感してますよ。

石塚

もうすでに大変なことが起こってますから。

安田

だけどやっぱり社員は「いやいや、休ませろ」って人が圧倒的に多い。

石塚

これを見て経営者は雇用のリスクを真剣に考え出すでしょうね。

安田

私はコロナの前から言ってましたけど。「人を雇うこと自体がリスクなんだ」って。

石塚

そうですね。このコロナを機にすごく実感してるんじゃないですか。

安田

雇用に対する経営者の考え方は激変するかもしれません。

石塚

たとえば三菱UFJ銀行なんかは、すでに8,000人の人員削減を発表してます。

安田

しましたね。

石塚

三菱UFJで8,000人って、誰を切ると思います?

安田

やっぱ年収の高い人でしょ。

石塚

そう。年収層のいちばん高いボリュームゾーンを切りたい。

安田

でも解雇はできないですよね。

石塚

だから希望退職で。年収が高くて生産性が低い層にお引き取りを願う。つまりリストラを加速する。

安田

大手に関してはコロナの前からそういう動きが出てました。逆に中小企業は「人さえいれば売上があがるし、採用難だし、ガンガンとらなくちゃ」って感じでした。

石塚

中小企業は今後二極化すると思います。

安田

どういう二極化ですか。

石塚

「あんまり大きい声で言えないけど、ウチ関係ないんだよ」って会社もある。

安田

ぜんぜんコロナで影響を受けてないってことですか?

石塚

そのとおり。

安田

そういう業界もありますよね。

石塚

少なからずある。そういうところは多分そのままいく。

安田

生活インフラに近いビジネスをやってる業界は、影響が少ないです。

石塚

ないと生活できませんからね。スーパーとか。

安田

現場の社員は「休ませろ」と言ってくるらしいですけど。

石塚

そりゃそうでしょうね。

安田

「みんなが休んだら社会は誰が回すの?」って社長が怒ってました。

石塚

休んでも給料出ますから。社員は。

安田

いま業績が悪くない企業さんでも「社員と経営者は考え方が違う」ってことに気づいてきてます。

石塚

そうですね。自己資金力が高い会社は思い切った判断をしてくると思います。

安田

たとえばどんな?

石塚

ずばり売却。

安田

売却ですか。

石塚

「大きいところに売ってしまおう」とか。

安田

それは増えそう。

石塚

増えると思います。とくにインフラに関しては母数が大きければ大きいほどメリットがあるので。会社を手放す動きが進むと思います。

安田

財務体質があまりよくないところはどうなるんですか?

石塚

廃業ですね。廃業・倒産しかない。

安田

ということは、ポストコロナは雇用自体が圧倒的に少なくなっていく可能性が高い。

石塚

とくに大卒ホワイトカラーの正社員は席が激減すると思います。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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