地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第56回 フレンチがイタリアンより高いのはなぜ?

スギタさんは以前シェフをされていたこともあるとお聞きしたので、イタリアンとフレンチの価格帯の違いについて聞いてみたいなと。一般的に、イタリアンは比較的リーズナブル、フレンチは高級というイメージがあるじゃないですか。

そうそう。鳩とかうずらとか羊とか鴨とか、いろんな食材を仕入れるんですよ。それを全部自分たちで捌いて、肉はメイン料理に使って骨はオーブンで焼いてから出汁を取ったりして。さらにそれぞれの食材ごとにその出汁を煮詰めてソースにしたりする。

そうなんです。学生時代にバイトしてたレストランでは、自家製と言いつつレトルトカレーを出してたんで、そのギャップがすごくて(笑)。本物のフレンチの大変さを目の当たりにしてからは、「そりゃ高いわ」という納得感があります。

イタリアンはいい意味で豪快で、ピザ窯でガッと焼くとか、肉や魚を高温で一気に焼いてバーンと出す感じ。でもフレンチは絶対にそんな調理の仕方はしません。例えば、10分かけて肉を焼いたら、肉汁を閉じ込めるために同じ時間休ませてあげたりする。そのあと改めて温め直して提供し、さらに骨からとった出汁を煮詰めたソースをかける、という流れなんですよ。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。