地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第61回 なぜ「手作りハム屋さん」は増えないのか?

ああ、行きましたね。広島のカジーノさんという自家製ハムとソーセージの美味しいお店ですよね。

関東だと鎌倉にも小さなハム屋さんがあって、ベーコンやソーセージ、どれも丁寧に作られていて本当に美味しいんです。隣にパン屋さんがあって、セットで買うのが定番になっていて。でもそういうお店って日本ではなかなか見かけないですよね。

僕もそう思います。遠くても美味しい店があれば、買いに行きたくなりますよね。カジーノさん以外にも、ミュラーオオタニさんっていう広島市内から車で1時間半くらいのところにあるお店も美味しいですよ。全部自家製で、どれを食べても感動レベルで。

ああ、確かに。デパ地下ももちろん美味しいですけど、どうしてもデパ地下価格ってありますもんね。同じ金額でも個人店の方が安くていいものが食べられる。ミュラーオオタニの店主さんはドイツで修業した方なので、発酵系のハムなども出してくれますし。

そういう方が多いですね。神戸のメツゲライクスダっていう有名な店の店主さんもドイツで修行されてましたし。

えっ、そうなんですか! それは知らなかったなぁ。その頃に知っていたら食べに行けたのに(笑)。でもそこまでやるって、よっぽど好きじゃないとできませんよね。ケーキやパンのように、作り方を学べる学校があるわけでもないし。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。