この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第102回 最近の初任給上昇について
第102回 最近の初任給上昇について

新卒の初任給がどんどん上がっていますよね。既に多くの企業が30〜35万円のレンジになってきていて、そのうち40万円を越えてくるかもと言われています。

そうなんですよ。逆に言えば、体力もあり伸び代もある若者を囲い込みたければ、最低でもそれくらいの額を出さないといけない時代ってことですよね。とは言え、そこからずっと右肩上がりで昇給し続けていくなんて無理な話で。

もちろんスキルがある人は伸び続けると思うんです。それこそ「年収1000万円稼ぐ社員」というのも全然可能になってくる。でも特に秀でた能力がなく「言われたことだけしっかりやります」みたいなタイプの人は、年収500〜600万円くらいが限界なんじゃないかと。

そうそう。そういう流れもあって、今後人材市場はキレイに二極化すると思いますよ。指示された仕事をただこなすだけの年収500万円くらいの人と、スキルが伸び続けることで年収1000万円を超えていく人と。

確かにそうかもしれませんね。そう考えると、冒頭出ていた初任給アップの話も、ちょっと違って見えてきますよね。実際額は上がったのかもしれないけど、それは結局、後でもらう分を前倒しでもらっているだけだとも言える。

まさにそうなんですよ。20代で先にもらっちゃう分、40代50代になっても全然上がらなくなってしまった。20代に払う分を低く抑えて、それを40代50代の給与に乗せていた今までとは、まるきり違うシステムになるわけです。

時代の流れですよね。今は働く側も「20代で稼げる会社」を選ぶじゃないですか。今どき「初任給は低いけど、40代からどんどん上がりますよ」みたいな会社は誰も選ばない。そんな年齢までその会社にいる可能性は限りなく低いわけですから。

企業にとっては人手不足が最重要課題ですから。とにかくまず若手を囲い込むことが重要で、その中からスキルが高い人や、抜けられたら困る人だけ給与を上げて引き止める。こういうサイクルが当たり前になっていくと思います。ちなみに鈴木さんの会社はどうしているんですか? やっぱり初任給はどんどん上げています?

そんな額だと仕事のできるシルバー人材はどんどん他社に行ってしまうんですって。結果、額を上げて引き止めるしかない。

ええ。企業経営者としては頭が痛いでしょうね。若手はもちろん、シルバー人材までどんどん値段が上がっている。一方で、若手にしろシルバー人材にしろ、「スキル」がない人は安い金額でしか働けない。なかなか難しい時代です。
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。