この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第104回 超高額なご葬儀は、需要がある?
第104回 超高額なご葬儀は、需要がある?

まさにそうなんです。寿司屋とか割烹料理屋にも「1日1組限定」で、ものすごく単価が高いお店ってあるじゃないですか。ああいう感じで、参列者は家族と数人の友人だけなんだけど、ものすごくクオリティの高い葬儀、みたいなことが出てくるんじゃないかなと。実際どうですか?

絶対ないとは言い切れませんけど…。ウチとしてもなかなかそこに振り切る勇気はないかもしれない(笑)。

でも鈴木さんは以前、お客さんの状況に合わせられるようにいろんな商品を取り揃えるって仰っていましたよね。それだったらなおのこと、単価がめちゃくちゃ高いご葬儀だって、一定数のニーズがあると思いますけど。

うーん。結婚式とご葬儀、決定的に違うのが「準備期間の長さ」なんですね。結婚式はプランナーさんのカウンセリングを受けながらじっくり考えを巡らせる時間があるけど、ご葬儀の場合せいぜい2〜3日。その中で「普通の葬儀」じゃない葬儀を考えるのは難しいんやないかなぁ。

でしょ?(笑) だから本当は1年くらい前からカウンセリングを始めて、納得のいくご葬儀ができるようにご相談に乗れればいいんですけど…。よっぽどのことがない限り、身内が亡くなる前提でそういう話をする方はいませんから。

ああ、なるほど。でも本人側としては「葬儀にはお金をかけなくていいよ」という感覚が強いでしょうしね。そうか〜、超高額なご葬儀の需要も絶対あると思ったんですが、そうでもないんですね。結婚式とは違う、と。

そうか。逆に結婚式は「やりたくてやる」商品だから、相手のWANTSをいくらでも膨らませていくことができるわけですね。
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。