この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第119回 人口が半減した日本が目指すべき姿とは
第119回 人口が半減した日本が目指すべき姿とは

でも私の子どもは今5歳なんです。だから40年後もまだ確実に生きている。その視点で考えれば、未来の日本がどうなっているのかは気にせざるを得ない。このまま人口がどんどん減って弱小国家のようになっているのか。それとも移民を受け入れ続け多民族国家になっているのか。鈴木さんはどう思われます?

そうだなぁ…。ものすごいイノベーションを起こす人が出てきて、まったく新しい日本に生まれ変わっているんじゃないかな〜と思います。

ほう。じゃあ今よりもGDPも大きな国になっている可能性もありますか。

あると思いますね。人口が減れば大量生産する必要もなくなって、必然的に生産性や効率にフォーカスするようになる。「選択と集中」でやることをすごく絞っていったとき、今では考えられない進化が起こる気がして。

は〜、なるほど。確かにあり得るかもしれませんが、少なくともここ数十年日本ではそういうことは起こらなかったわけでしょう? みんなが守りに入って、嵐が過ぎ去るのをひたすら耐えながら待っているというか。

今までは、まだ余裕があったんだと思うんです。「もうこのままじゃ本当に日本が終わってしまう」というギリギリのところまで追い込まれたら、また違うんじゃないかな。スクラップ・アンド・ビルドは日本人、得意じゃないですか。

なるほどなるほど。今まではスクラップするほどの状態ではなかったから、結果新たなものがビルドされることもなかったと。でも仮にそういう状況になったとき、どういう変化が起こるんでしょうね。一言で「成長」と言っても、人口がガンガン増えていた頃の成長とは別物な気もしますけど。

ああ、確かにそうかもしれない。GDPは半分になったけど、幸福度は倍になった、みたいなことはあり得そうです。ただ、日本人がすごいイノベーションを起こして生産性が爆発的に上がっている、みたいなイメージはわかないんですよねぇ(笑)。

笑。確かに日本で生まれ育ち、良くも悪くも真面目な日本の教育を受けてきた人が、突然劇的なイノベーションを起こすイメージはないかもしれない(笑)。でも、日本の「アニメ」や「漫画」は世界的に人気なコンテンツになっているわけじゃないですか。

逆に言うと、日本人が苦手なそういったフレームワーク的なことは海外の方にお任せして、日本人はいい作品を生み出すことに特化したほうがいいのかもしれない。

そうそう。会社経営や戦略、マーケティングといったことについては海外からどんどん有能な人を招き入れてやってもらえばいい。でも「種(たね)」の部分は日本人が作る。そうやって海外の人とうまく融合すれば、ものすごい産業が生み出される可能性もありますね。
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。