第123回 ご葬儀の「潜在ニーズ」を引き出すのは、担当者の腕次第?

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第123回 ご葬儀の「潜在ニーズ」を引き出すのは、担当者の腕次第?

安田
先日ニュースで「ヘビメタが演奏できる葬儀場」があるって見たんですけど、鈴木さんご存知でした?

鈴木
いや〜、それは知らんかったな(笑)。でもウチでも過去にフォークダンスを踊ったことがありましたよ。
安田
葬儀でフォークダンスですか!

鈴木
そう。故人の方がフォークダンスのサークルに入っていたそうで。お仲間が集まって故人の前で踊られたんですよ。そういう何か特別な理由があるのであれば、ヘビメタもやっていいんじゃないかな。きっとそれはご遺族の方にとっても癒やしになると思いますから。
安田
なんか日本って昔から「死=タブー」とされてきて、葬儀もしんみりしていて暗いイメージが強いじゃないですか。でもきっと中には「もっと明るく、楽しくやりたい」と思っている人もいると思うんですよね。そこに「潜在ニーズ」があるんじゃないかなと。

鈴木
確かにそうですね。ただそういったニーズはよっぽどじゃない限り、ご遺族の方からは出てこないんですけどね。
安田
あ、そうなんですか? じゃあフォークダンスはどういう経緯で?

鈴木
ご葬儀の担当者が「故人様のご趣味は何でした?」ってじっくりヒアリングしていった結果ですね。そういう意味では担当者の力量がめちゃくちゃ大きいんです。
安田
なるほどなぁ。確かに遺族としては「葬儀は厳かにやるのが当たり前」と思っているから、なかなか「みんなでフォークダンスをしたい」という発想にはならないですよね。「ちょっと変わったお葬式」をすることで、周りの人から白い目で見られる…と懸念される人もいそうだし。

鈴木
ああ、なるほど。でも最近は「家族葬」が増えているので、昔に比べたらかなり自由度が高くなってきたように感じます。
安田
そうか。身内やごく親しい人しか呼ばないからこそ、本当に故人が喜ぶ葬儀を気兼ねなく選べるわけですね。

鈴木
そうそう。昔はお葬式って「義理と見栄」のためにやっていた部分も大きかったんです。「これだけ大きい規模で葬式ができるんだぞ」というのを周りに見せつけるための場とでもいいますか…。
安田
は〜、なるほど。だから参列者も多ければ多いほど良かったわけですね。

鈴木
ええ。でも今はだんだんと「お葬式は自分たちのもの」になりつつあります。周りと比べる必要がなくなってきたからこそ、いろんなことができるようになってきたのかなと。
安田
なるほどなるほど。ちなみにお葬式も、「結婚式」と「披露宴」のように、儀式的なものとお別れ会的なものに分ければいいと思うんですけど、鈴木さんはどう思われます?

鈴木
いやいや、もう分かれていますよ。いわゆる儀式的なことが「葬儀式」で、披露宴的なことが「告別式」です。先ほどお話ししたフォークダンスも「告別式」での話でして。
安田
ああ、そうなんですね。つまり告別式であれば比較的自由にやれると。

鈴木
そういうことです。告別式は宗教者がいない場なので、自由度が高いと言えます。とはいえそれも担当者から「ご葬儀の後に踊られてはどうですか?」といったようなご案内をしない限り、ご遺族は「そんなことできるわけもない」と思われていますけどね。
安田
こちらから言わないとできないからこそ、そこに顧客の潜在的なウォンツがあると。

鈴木
仰るとおりです。ただ実際問題、そういった「ちょっと特別なこと」を提案すると手間はかかる。それでその手間を面倒くさがって提案しないこともあるんですが…それではダメだと思いますね。
安田
なるほどなぁ。『のうひ葬祭』さんで、故人の趣味嗜好に合わせた「オリジナル告別式」を商品化したらどうでしょう? ご遺族の方たちにとって満足度が高いサービスになると思いますよ。

鈴木
うん、確かに。安田さん、ぜひ一緒にアイディアを考えてください(笑)。

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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