第143回 孤独死は、悪なのか?

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第143回 孤独死は、悪なのか?

安田
鈴木さんは孤独死に対してどういうイメージをお持ちです?

鈴木
どう思うかはさておき、もう今の時代避けられない問題やと思いますね。子どもがいないご家庭だったら、夫婦どちらかが亡くなれば、どうしたって遺された方は一人暮らしになるわけで。
安田
そうか…。そう考えると今後ますます孤独死は「当たり前の死に方」になっていくのかもしれませんね。

鈴木
まあ、本質的な意味では皆「死ぬ時は一人」なんで、他の死に方と別に変わらないわけですけど。死後しばらく気づかれずに放置されていた、みたいなニュースがあるから、「孤独死=悲惨」という印象になっちゃうんでしょうね。
安田
なるほどなるほど。じゃあ鈴木さんは、自分が亡くなる時に一人でも構わないという考え方ですか。それとも枕元に家族を呼んで一言二言残して逝きたい派ですか?

鈴木
いやぁ〜どうやろな(笑)。安田さんはどうですか?
安田
私は…一人のほうがいいかも(笑)。みんなに見下されながら「今死んだ? まだ死んでない?」みたいに待たれながら死んでいくのは遠慮したい(笑)。

鈴木
1人でそっと死んで逝きたい派なんですね(笑)。
安田
そうそう(笑)。かと言って、死んでから1週間以上も発見されないのも嫌ですけど。

鈴木
わかります(笑)。僕も1人でそっと死にたいけど、できれば亡くなった当日に発見してもらいたい(笑)。
安田
「夜は元気に寝たのに、朝起きてこないなと見てみたら、もう死んでいた」っていうのが理想なんですよね。ちなみにこういう場合も孤独死になるんですかね? 普段から夫婦別室で寝ているんだけど、朝起きたら片方が亡くなっていたっていう状況は。

鈴木
いや、それは孤独死ではないんじゃないですかね。同居人がいるわけですから。
安田
そうかそうか。あくまでも孤独死は一人暮らしであることが前提なわけか。うーん、でも独居老人なんて、全然珍しくもないですよね? その方たち皆、亡くなったら「孤独死」となるわけですか。

鈴木
そんなこともないんでしょうけどね。どこから孤独死か、という明確な線引きはないわけで。ともあれ夏場に老人が熱中症で亡くなっていた、みたいなニュースは増えているじゃないですか。暑いのにエアコンをつけずに我慢していて、とか。
安田
あぁ、電気代を気にしてエアコンを付けるのを躊躇しちゃうっていう…。でもこんなこと言ったら怒られるかもしれませんが、それで亡くなるのって老衰の一種なんじゃないのかなと思っちゃうんですよ。

鈴木
ほう、なかなか大胆なご意見だ(笑)。
安田
もちろん経済的な理由などでエアコン代も出せない、みたいなケースもあるでしょうけど、命をかけてまで我慢するものじゃない。つまりその人はもう「生」に興味がなくなっているんですよ。

鈴木
ああ、なるほどね。確かにそういう意味では寿命、つまり老衰なのかもしれないね。
安田
でしょ? 本人がたいして苦しむこともなく、静かに脱水して逝ったのであれば、それはそれで悪い死に方じゃない気がするんですけどね。

鈴木
そう考えると「孤独死」の基準としてはやっぱり「死んだことを誰にも気づかれない」ということが重要なのかもしれない。
安田
確かに確かに。死の瞬間が一人だということが問題なのではなくて、それをすぐに発見し、しかるべきところに連絡し、荼毘に付すところまでを面倒見る。そういう存在だったり制度を作ることが、「孤独死」への対策に繋がるんでしょうね。

対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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