この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
安田
先日
ニュースで話題になっていたんですが、新幹線の指定席を譲ってくれっていう話。どうやら自由席から来た妊婦さんや子連れの人が「席を替わって欲しい」って言ってきたんですって。この話、ご存知でした?
鈴木
いやぁ、知らなかったですね。それは指定席を事前に買ってなかった人が、席を替われって言ってきたってこと?
安田
そうみたいです。年末年始の大混雑だった新幹線内の話らしく。目の前で「苦しい…」って座り込まれたら、道徳的にも譲らざるを得ない気はしますけど(笑)、そもそも指定席を買っている人もいろんな事情がある中、ちゃんとお金を払って席を確保しているわけですからね。
鈴木
ですよね。それを譲ってくれっていうのは…ちょっと虫がよすぎる話な気もするなぁ(笑)。
安田
ちなみにJRのルールでは勝手に自由席と指定席を交換するのはNGなんですって。
鈴木
へえ、つまりその席を買った本人じゃないと座れないわけですね。
安田
そうそう。今にも倒れそうな緊急事態とかだったらまだわかりますけど、世間的には「最初から予約しておけばいいのに」っていう反応が多かったみたいですね。
鈴木
そりゃそうでしょう(笑)。でもいざ僕がそういう場面に出くわしたらどうするかなぁ。相手の状態を見て譲るかもしれないし、「他に座席空いてないの?」って聞くかもしれない。その時の状況次第な気がします(笑)。
安田
そもそも今回ニュースで話題になったのは、自分から「席を交換してよ」って言ってきたからみたいで。これ、どういう心境なんでしょうね?
鈴木
あ、自分から言ってきたんですか? それはちょっと驚きやね。ますます「じゃあ自分で先に予約しとけよ」って思っちゃう(笑)。
安田
ですよね(笑)でもこれ新幹線に限らず、電車やバスでもよくある話で。若者はいつでも老人に席を譲るべきだ、って論調がまだあるじゃないですか。そこが優先席じゃない普通の席であっても。
鈴木
確かに確かに。でもその若者だって、猛烈に疲れているから座ってるのかもしれないのに。
安田
ですよね。なんていうか…年配の人に「代わって当然だ」みたいな顔で来られると、ちょっと譲りたくなくなっちゃう気もしません?(笑)
鈴木
あはは、それはわかる(笑)。「座りますか?」「お、悪いねぇ、ありがとうねぇ」ってやりとりがあればお互い気持ちいいんですけど。
安田
そうそう。ただね、日本人って世界的にも相当高い道徳観を持っていると言われていますが、一方で「臨機応変さ」が足りないような気もするんですよ。変に白黒ハッキリつけたがるというか…。
鈴木
要は「グレーゾーン」ですよね。何が正解か不正解か、ではなくて、「今回はこれで手を打ちましょうよ」というような落とし所を見つけるっていう。…でもそういうのって、日本人はむしろ得意な気もしますけど。
安田
どうなんでしょうね。ちょっと前だと、コロナ禍に
「マスク警察」なんて言葉も流行りました。マスクをしていない人に執拗に注意したり暴言を吐いたりして。私なんかはもっと臨機応変でいいと思っていたんですけど、「絶対にこうじゃなきゃダメだ」みたいな頑なな道徳観を持っている人もいる。
鈴木
確かになぁ。いわゆる「べき論」が強い人って、自分で自分を苦しめてどんどんストレスを溜めていちゃいますよね。そんなこと気にせんでもいいのにな〜って(笑)。
安田
そうですよねえ。なので鈴木さんが言うように、そのあたりのバランスがうまい人もいますが、中には極端に苦手な人もいるという。
鈴木
なるほどなぁ。ちょっと話がずれるかもしれませんけど、みんな「自分をご機嫌にする方法」っていうのは持っていた方がいいと思いますね。相手にご機嫌にしてもらおうと思っても、それはなかなか叶わないから(笑)。
安田
ははぁ、深いですね。自分をご機嫌にできるのは、自分だけだと。
鈴木
そうそう。他人の行動にイライラしているのって、結局は相手に振り回されているのと同じ状態ですからね。
安田
なるほどなぁ。先程の指定席の話でも、譲るかどうかは自分の中に判断基準を持っておけばいいわけですね。その基準を元に、相手の状況を見極めながら、自分で決定を下すと。
鈴木
そういうことです。「お互い様」という気持ちを忘れずに、上機嫌に過ごしていけるといいんじゃないかなと思います!
対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役
株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。
