第80回 26代遡れば、みんな家族?

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第80回 26代遡れば、みんな家族?

安田
突然ですが、私たちの先祖って、一代前が両親の2人、二代前の祖父母が4人…というように倍々で増えていきますよね。それをたった26代遡るだけでなんと1億2000万人になるんですって。

鈴木
へえ〜! 日本の人口と同じなんですね。ということはつまり、26代遡れば日本人はみんな家族だと(笑)。
安田
そういうことです(笑)。26代前の人から見れば、今の日本人は全員自分と血がつながっている「私の一族」になるわけで。それなのに最近の日本人は「他人」に厳しいですよね。みんな血を分けた家族なのに。

鈴木
それで言うと、日本人に限らず、人類はもとを辿ればアフリカの1人から始まっているわけでしょ? ということは「人類みな兄弟」。戦争なんて「兄弟同士の殺し合い」みたいになっちゃいますよね。
安田
そうなんですよ。とは言え、見ず知らずの人から「すみません、お金貸してもらえませんか? だって私たち、きっとどこかで血がつながっているんですから」って言われても、貸すわけがないですよね(笑)。

鈴木
ないない(笑)。所詮は他人ですから。
安田
ですよね(笑)。そういうことを踏まえて聞きたいのが、「先祖を敬いましょう」という場合の「先祖」って何代くらい遡ったところの人なのかなぁと。

鈴木
なるほどなるほど。実は僕、父が亡くなった時に「家系図」を作ってみたんですよ。
安田
へぇ。どれくらい前の代まで遡ったんですか?

鈴木
奥さんの方を合わせて8代くらい前まで調べました。そこで改めて思ったのが、自分で認識できるのは「曽祖父母」ぐらいなんですよ。だから感情的には、「先祖」と言えるのはそのあたりまでなんじゃないかなと思います。
安田
ふーむ、なるほど。ちなみにそうやって遡って調べてみて、8代前の人に対しても親近感は湧きました?

鈴木
いや、そんなに(笑)。「へ〜、こことここが繋がっとったんか。ふ〜ん」で、終わりです(笑)。
安田
ということは、今まで「他人」だった人が、実は「親戚」だとわかったとて、特に何も変わらないってことですか(笑)。

鈴木
そうそう(笑)。別にこちらとしても「あなた、僕の親戚でした!」って言おうとも思いませんでしたし、たぶん相手側も突然「僕ら親戚ですよ」って言われたところで困るでしょ(笑)。
安田
確かにそうかもしれない(笑)。よく「たくさんのご先祖様のうち1にでも欠けていたら、あなたは今この場所にはいないんだ」という主張をする人もいますけど、そんなに過去まで遡っても、全然現実味がないわけで。

鈴木

そうですね。「先祖を敬いましょう」って言われた時に思い浮かべる「先祖」は3〜4代前くらいまでが限界だと思います。

安田
ちなみに日本人って、「移民」に対して厳しい意見を持っていることが多いじゃないですか。でもそれも20代以上遡っていけば、外国から来ている人もいるはずなんですよ。つまり現代を生きる私たちは皆「移民の子孫でもある」と言えなくもない。

鈴木
うーん、理論上はそうかもしれないですけど、なんかピンとこないなぁ(笑)。
安田
まぁそうですね(笑)。曽祖父母「以前」ですもんね。ともあれ個人的には、どこまでを「自分のご先祖様」と意識すればいいのか、ハッキリさせたい想いもあって。

鈴木
それは個人個人が決めていいと思いますよ。自分が「この人は先祖だ」と思える範囲内を先祖とすればいい。あるいは「26代前のご先祖様のおかげで今の自分がいる」っていうのも素敵な考え方なんじゃないでしょうか。いずれにせよ自分にとっての「納得解」を探せばいいんじゃないのかな。
安田

なるほどなぁ。じゃあ私は、「他人のように思える人でもどこかで血がつながっているのかもな〜」と思いつつ、「先祖」として敬うのは曾祖父母くらいの代までにしておくことにします(笑)。いやぁ今日も面白い話になりましたね(笑)。

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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