この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第91回 日本人の年収中央値を1000万円にするための秘策
第91回 日本人の年収中央値を1000万円にするための秘策
前回の対談では、私が「日本人の年収を1000万円にする」という目標を立てたというお話をしましたよね。その目標達成に向けていろいろと考えているうちに、そもそも1000万円稼げる人とそうでない人の決定的な違いは「意識の問題」なんじゃないかと気づきまして。
ほう。それはつまり「1000万円稼ぐのなんて、簡単だろ」って思っている人は、本当に稼げちゃうということ?
仰るとおりです。逆に「1000万円なんてそんなに簡単に稼げるわけない。苦労して我慢することでようやく手に入るんだ」なんて思っている人は、だいたい貧乏なんですよ(笑)。
確かにそうかもしれない(笑)。でも日本人ってわりとそういう考えの人、多くないですか?
そうなんですよ! だからなかなか平均年収も上がらないんだろうと。
まずはそこの「意識」から変えていかないと、というわけですね。
ええ。今って日本人の平均年収が400万円ぐらいなので、多くの人は「年収5〜600万円くらいは稼ぎたいな」って思うに留まっている。でもこれが「日本人の年収の中央値が1000万円」という状態になれば、年収1000万円稼ぐ人もどんどん増えていくと思うんです。
オリンピックの記録と同じようなもんですね。昔は100m走で10秒なんて切れるはずないって思われていたのに、1人が9秒台を出せたら、一気に何人もの人が9秒台で走れるようになった、みたいな。
そうですそうです。それと同じ理屈で、日本人の8割くらいが「年収1000万円ないと生活できないでしょ」と言うようになれば、みんな1000万円稼ぐことが普通になるんです。
こうやってお聞きしていると、なんだか本当に「年収1000万円」が当たり前に実現できそうな気がしてきましたよ(笑)。とはいえ、この「意識改革」、どうやって広めていくつもりなんです?
「1000万円稼げると思い込めば稼げます!」っていうのはずいぶん乱暴な話なので(笑)、私なりに2つ作戦を考えてみました。まず1つ目が「年収1000万円以上稼げる会社以外には、就職しない」。
え、就職しないんですか?
はい。今でも基本的に大企業だと年収1000万円は超えるじゃないですか。だから就職するのはそういう会社だけ。それ以外の会社には絶対就職しちゃダメ。
へぇ〜ずいぶん大胆な作戦ですね(笑)。
この作戦の意図としては、エリートたちはとにかく稼げる会社で働き、さらに稼げる会社に転職し、どんどん年収を上げていってくれ、ということなんです。そうすれば日本人の平均所得も上がっていきますからね。
ふむふむ。でもエリートじゃない人はどうしたらいいんです? 世の中には、年収1000万円も出してもらえるだけの能力がある人ばかりじゃないと思うんですが…。
そういう人たちは、全員社長になるんです。それが2つ目の作戦です。
社長?!
そうそう。別に経営者になって人を雇う必要はなくて、1人社長でもいいんですよ。とにかく「自分で商売して、1000万円を稼ぐ」んです。
あ〜なるほど! 確かに商売で1000万円を稼ぐ方が、大企業で1000万円プレイヤーになるより可能性が高い人もいるかもしれないですね。
まさにそうなんです。商売で年収1000万円を目指すのであれば、月に80万円くらいの利益を出せばよくて。そう考えるとかなり現実味がありますよね? 実際私も会社を作った25歳のときは落ちこぼれの営業マンでしたけど、それでも会社の創業年で月に80万円の利益は出せていましたから。
でも、何の商売をやるかっていうところの適性を見定めるのが、ちょっと難しいかもしれないですね。あ、だからそこを安田さんが教えてあげるわけか。
そうですね。というか私は常々、日本の教育って「会社員になること」が出口になっている気がしていて。本当はもっと「自分の得意なことを活かしてお金を稼ぐ方法」を子どものうちから身につけておくべきなんじゃないんでしょうかね。
確かに確かに。自分の得意なことでお客さんに喜んでもらえる商売を実直にやっていけば、1000万円を稼げる商売ができるでしょうね。
ですよね。というわけで、「会社員として1000万円稼ぐ人」と「商売で1000万円稼ぐ人」。この2つのアプローチで日本人の平均年収を1000万円に押し上げるという私の作戦。鈴木さんもぜひ一緒にやってください!(笑)
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。