第95回 60歳を過ぎたら、1人ビジネスを始めるべし

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第95回 60歳を過ぎたら、1人ビジネスを始めるべし

安田
今の日本はどんどん老人が増えていて、若者1人の肩に老人が複数乗っかっている状態じゃないですか。若者にとってはキツい状況ですよね。

鈴木
本当ですねぇ。しかも今後、肩に乗る老人の数はますます増えていくわけで…。
安田
ええ。だから我々のように「現役を退いた老人たち」は、自分が生きていけるぐらいは自分で稼ぐべきだと思うんです。

鈴木
安田さんがよく仰っている「1人ビジネス」ですね。僕自身も緩やかに始めていますけど、やっぱりお客様に喜ばれると生きている実感がありますよ。でもどうなんだろうな、「こんな老人になってまでなんで働かないといけないんだ!」って思う人も多いのかもしれない。
安田
そうなんですよ。「働くこと=食うための我慢」だと考えてきた人はそうなっちゃいますよね。働くことの楽しさがわかっていないから「ようやく引退できたのに、なぜまた働かせるんだ」と。

鈴木
僕の周りにも「あとどれだけ働き続けなきゃいかんのかね〜」なんて嫌そうに言う人が多いです(笑)。でも、じゃあ働きもせず毎日何をやるんだって話ですよ。「何もすることがない」ことほど辛いことはないと思うんだけど。しかも収入がなければ貯金も減っていくばかりなわけでしょ?
安田
そうそう。かたや自分のやりたいことをビジネスにすれば、毎日張り合いを持って生きられて、お客さんにも喜んでもらえて、お金も稼げる。そのお金で孫にいろいろ買ってあげることもできるわけで、理想的じゃないですか。

鈴木
私もそう思うんですけど。でも世間の人たちは思った以上に「働くことが嫌い」なのかもしれない。
安田
まぁ、会社に雇われている状態だと、いろいろとストレスがあるのはわかるんです。雇われていると嫌なことでも我慢しなきゃいけないし。でも「1人ビジネス」は自分が事業主ですから、嫌な上司もいないわけで(笑)。だから私は「60歳過ぎたら1人ビジネス始めること」を強くオススメしたいと思います。

鈴木
いいですね〜。そういう新しい働き方を「安田教」として広めていきましょう(笑)。
安田
いやいや(笑)。実際、鈴木さんも『相続不動産テラス』をやられていますよね。「1人ビジネス」を快適に進めていくためのコツを教えて下さいよ。

鈴木
そうだなぁ。まず当然、人は雇わない方がいいですね。1人で気楽にやるのがいい(笑)。
安田
確かに、それが一番大事かもしれない(笑)。じゃあお金の面ではどうでしょう? やっぱり借金はしない方がよさそうですか?

鈴木

貸してくれる人がいるなら、借りればいいんじゃないですか? もっとも銀行は相手にしてくれないと思うけど(笑)。ただお金がある人に「こいつになら投資してもいいかも」って思ってもらえる事業だといいですよね。

安田
確かにそうですね。応援してくれる人がいれば、自己資金だけでやるよりスムーズに運営できそうです。

鈴木
そうそう。お金はたくさんあるけど使い道がない人って、世の中にはわりといるので。そういう人に相談して「出資してください」って交渉するのはいいんじゃないでしょうかね。出資だったら「借金」にはなりませんし。
安田
ということは、人を雇わず、借金より出資を募る形で、気楽にできるビジネスがいいと。そして人に喜ばれたり役に立っている実感が得られる仕事だったら、尚良しだということですね。

鈴木
そうですね。…こうして見ると、僕がやっている「空き家ビジネス」はこの条件にかなり当てはまっていますね。我ながらいい仕事を始めたもんです(笑)。ちなみに安田さんはどんな「1人ビジネス」を考えています?
安田
私はやっぱり「ビジネス相談」みたいなことですかね。今より儲かる事業を一緒に考えてあげるとか、新しい組織の作り方を考えるとか、それこそ1人ビジネスの立ち上げを手伝うとか。逆に言うと「それしかできない」わけなんですけど、それでいいんですよ。これまでの人生で培ってきたことを素直に活かせばいい。

鈴木
確かに。僕も今、相続した空き家で困っている人のサポートをしていますが、これも本業である「葬儀」の仕事から派生して出てきたビジネスなんですよね。僕の中では「遺族の役に立つ」ということが自分のやりたいことだったので。
安田
そういうことなんです。だから皆さんあまり難しく考えず、素直に「1人ビジネス」を考えてみてください。

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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