泉一也の『日本人の取扱説明書』第14回「道の国」

泉一也の『日本人の取扱説明書』第14回「道の国」
著者:泉一也

このコラムについて

日本でビジネスを行う。それは「日本人相手に物やサービスを売る」という事。日本人を知らずして、この国でのビジネスは成功しません。知ってそうで、みんな知らない、日本人のこと。歴史を読み解き、科学を駆使し、日本人とは何か?を私、泉一也が解き明かします。

 

道を極める。この「道」という感覚が日本人にある。「道」という感覚と、英語でいう「way」は似て非なるもの。「企業名+WAY」という言葉を作って、会社の価値観を表そうとしているのをよく見かけるが、ここには「道を極める」という意味はなく、自社の趣味嗜好的なスタンスを表しているに過ぎない。記号としてのかっこよさを優先し、本来の意味合いを忘れて使っているほどかっこ悪いものはない。英語が使えるということが先進的で世界的視点をもっているという価値観を植えつけられたため、こういうアホなことが起こる。

武道に茶道に書道に、道の世界は我々の日常生活に密接に結びつき、日本の文化の土台となっている。この道の世界は日本独特であるが、中国からの影響も大きい。中国には、仏教・儒教にそして道教という三大宗教があるが、その中でも土着的な宗教である道教に「道=Tao」という考え方があり、それが日本の道にも入っている。仏教では極めることを「悟り」といい、悟った人を仏陀という。また儒教では極めると聖人君子になる。道教ではその世界を極めると道と一つになり「仙人」になる。武道や茶道や書道の達人には、どこか仙人的なイメージがあるのは、道教の影響があるからだろう。

仙人は不老長寿である。自然の氣と一体となっているので、食事を取らずとも生き、自然界と同じように永遠に命が続く。つまり道(Tao)とは、自然の氣と一つになった状態を表しているのだ。日本人はこの自然の氣を感じることを大切にしたので、俳句や和歌といった表現を通して歌道を生み出した。テレビ番組のプレバトに人気があるのは、道の文化が日本にあるからだ。

2件のコメントがあります

  1. 最高傑作!感動もんでした。
    世界を変えるのはイズやんやで!

    1. こゆたん、コメントありがとうございます。
      一緒に世界を変えていきまひょ。

感想・著者への質問はこちらから