Cの逆襲

商店街に並んでいる小さなお店。
例えば個人経営のブティック、
喫茶店、パン屋、肉屋、金物屋。
定義的には、これらの店で行われているのは
ビジネスである。
だが我々のイメージするビジネスとはちょっと違う。
それはビジネスというよりは商い(あきない)に近い。

ビジネスという言葉のイメージは、やはり企業である。
それもある程度の規模や社員数をクリアした企業。
例えば同じ喫茶店でも、
全国に数百店舗を抱えるような規模のものはビジネス。
数百軒の飲食店に肉を販売していく仕事も
またビジネスである。

ある程度の規模、マーケットのシェア、
それを実現していくための会社組織。
それがビジネスの根幹ではないだろうか。
つまりビジネスとは株式会社が営むものなのである。

会社がビジネスの主体である。
それを表すのがBtoB、BtoCという区分だ。
販売先は企業と個人に別れているが、
販売元はいずれも企業である。
だがここに来て、この枠組みは大きく変わりつつある。

そのひとつの要因がインターネットの登場である。
特にスマホとSNSの普及によって、
離れた場所にいる個人と個人が
直接取引できるようになった。
メルカリのようなプラットフォームも次々と出来てくる。
つまりCtoCという新しいビジネス領域が、
もう既に動き出しているのである。

そして更に枠組みは変化する。
変化をもたらす二つ目の要因は、
優秀な個人の企業離れである。
彼らはやがて、企業を相手に
商品やサービスを販売し始める。
ここにCtoBという新領域が誕生するのである。

企業から仕事を受ける個人はこれまでにも存在した。
だがそれはあくまでも下請け的に仕事をする個人である。
CtoBという領域においては、ここが根本的に変化する。
自ら商品を企画し、自らマーケットを生み出し、
集まった企業に対して自ら商品を販売する。
そういう個人がどんどん増えていくだろう。

彼らはこれまで雇われた企業の中で、
ある特定の分野を任されて来た人たちだ。
その専門性に磨きをかけ、雇用という枠組みを超え、
自らのスキルを複数社に販売する。
それは、採用領域、広告領域、
マネジメント領域、営業領域、開発領域など、
あらゆる領域に広がっていくだろう。

個人はより専門性を高め、
そのスキルでこれまで以上の収入を得る。
企業はどんどん組織を簡略化し、
外部の個人から専門スキルを買うようになる。
Cから始まる流れは、もう止まらない。

 


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