泉一也の『日本人の取扱説明書』第31回「アニメの国」

日本には民話が4万以上あるが、その民話は我々の先祖たちが創作し、アニミズム的な世界を後世に伝承してきた。現代の大人たちはその創作も伝承もままならない。見える化、エビデンス、ビッグデータといった言葉に翻弄されているように、見える世界に意識が偏っている。

見える世界とは自他を分離した世界である。人間は「自」意識が芽生えた瞬間から他を分離し、孤独感と疎外感に苛まれるようになった。この世のすべてと関連し、相互に活かしあい、繋がっているのにも関わらず。もう一度、その繋がり感を取り戻すには、創作されたアニミズム的な物語が必要なのだ。なので、神道では八百万の神が身近なところにいて自分を見守ってくれているという神話を創作し、分離の世界から全てに繋がっている世界へといざなった。イザナギとイザナミをスタートにして。

家庭に地域に会社に、人が集い繋がり共同生活する場にはアニミズム的物語が必須である。よって「アニメは幼稚」などといっている人を組織のリーダーにしてはならないのがよくわかっただろう。

余談ではあるが、昨年の1年間で一番活性化した「場活」は、Y々木アニメーション学院での生徒さん向けの研修であったのは言うまでもない。

 

著者情報

泉 一也

(株)場活堂 代表取締役。

1973年、兵庫県神戸市生まれ。
京都大学工学部土木工学科卒業。

「現場と実践」 にこだわりを持ち、300社以上の企業コーチングの経験から生み出された、人、組織が潜在的に持つやる気と能力を引き出す実践理論に東洋哲学(儒教、禅)、心理学、コーチング、教育学などを加えて『場活』として提唱。特にクライアントの現場に、『ガチンコ精神』で深く入り込み、人と組織の潜在的な力を引き出しながら組織全体の風土を変化させ、業績向上に導くことにこだわる。
趣味は、国内外の変人を発掘し、図鑑にすること。

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