泉一也の『日本人の取扱説明書』第81回「道をひらく国」

泉一也の『日本人の取扱説明書』第81回「道をひらく国」
著者:泉一也

このコラムについて

日本でビジネスを行う。それは「日本人相手に物やサービスを売る」という事。日本人を知らずして、この国でのビジネスは成功しません。知ってそうで、みんな知らない、日本人のこと。歴史を読み解き、科学を駆使し、日本人とは何か?を私、泉一也が解き明かします。

日本中どこへ行っても道路が縦横無尽に張り巡らされている。

その道路の総延長は1200万キロ。地球1周が4万キロなので地球300周分ある。日本は地球の表面積のたった0.07%に過ぎないが(5億㎢のうち38万㎢)そんな狭い場所に地球300周分の道があるわけだ。

ちなみに国土面積当たりの道路の距離(道路密度)はドイツの1.8倍アメリカの5倍と世界トップ。国土の半分以上が「山地」にも関わらず。

日本の山に入ると、大昔から山道があったことがわかる。参拝の道、運搬の道、水を引く道。今年、長野県で「塩の道」を復元するプロジェクトを立ち上げたのだが、その復元予定の道に入って感じるのは、昔の人がどうやってこの険しい山で道を開き、さらに整備できたのかという疑問ばかりである。現代人がピラミッドを見て、過去の技術でどうやって作ったのかと疑問が湧くのと同じだろう。

日本人は「道」を拓くことに異様なまでの「情熱」があったとしか考えられない。その情熱は「違う場所に行きたい」「地域同士を繋げて交流したい」という想いだ。縄文時代ですら、遺跡から出土された黒曜石を調べると、日本全国で交流があったことがわかっている。もしこの情熱を日本人が皆持っているとしたなら、日本人が定住民族であるという認識をガラリと変える必要がある。

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