第100回 日本人が日本株を買わなくなった理由

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第100回 日本人が日本株を買わなくなった理由

安田

最近はNISAも一般的になって、投資をするのが当たり前という感じになってきましたよね。でも皆海外株を買うばかりで、日本株を買う人は全然増えてないらしいんです。


渡邉

実際、長期で投資しようと思うと海外株の方が圧倒的に安定しているし、成長が見込めますからね。

安田

でもそうすると、日本人の預貯金が海外に流れていくわけですよ。さらに最近では円安の影響で、東南アジアの通貨で貯金してる人まで増えているらしくて。「日本円は日本人が買い支えているから暴落しない」と言われてましたけど、このままだといよいよ暴落するんじゃないかという気もして。


渡邉

うーん、どうなんでしょう。いきなり価値が紙くずみたいになる、なんてことは考えにくいんじゃないですかね。「日本の借金はすごい」みたいに言われることもありますけど、その一方で日本は世界有数の債権国でもあるわけで。

安田

でもその資産って「国民の貯金」だったりするわけじゃないですか。その貯金を円建てではなく海外通貨で持つ人が増えてきてるのは、懸念すべき動きじゃないかと思うんです。


渡邉

ああ、なるほど。今の時点で国家予算の半分くらいは国債の発行でまかなってる状態ですもんね。

安田

そうそう。それでも引き受けてくれるところがあるうちはいいと思うんです。銀行も預かった預金を貸し出すことで成り立っているわけで。でも「日本円じゃなくドル口座にお金を置いといた方がいい」という考え方が一般的になったら、日本円が大暴落するんじゃないかって心配なんですよ。


渡邉

それでいうと、アメリカとか海外の方が可能性高いんじゃないかという気もしますけど。

安田

海外はもともとそういう傾向があるんですよ。前提として自国の通貨を信用してないから、下がりそうだと思ったらすぐに他の国の通貨を買いに動く。でも日本人はどれだけ低金利でも円を買い支えてきたわけでしょ。


渡邉

確かに。「円を買っている」という自覚がないだけで、ドルで持っていたら今頃1.5倍くらいになってるのに、円で貯金してましたもんね。

安田

そうなんですよ。それだけ日本円を信頼していた人たちがNISAで投資に目覚めて、一斉に海外の株を買い始めた。それってけっこう大きな転換ですよね。

渡邉

僕自身が海外株を買わないので、そこまで実感がないのかもしれません。海外の株ってバブルみたいになっているイメージがあって。PER(株価収益率)が100倍とか、何百倍になっている銘柄があったり。

安田

それはかなりリスクの高い銘柄の話でしょうけど、例えばS&P500みたいなインデックスは安定した成長株として人気ですよね。


渡邉

確かに。それでいうと、僕はIPO株しか買わないんです。新規株式公開したばかりの「これから絶対に成長するだろう」というところにガーッと突っ込むので。

安田

ははぁ、なるほど。ただ日本人の大半はそんなリスクを取る投資はしないでしょうからね。そうなると外貨建ての資産が増えていく流れは止められないのかもしれない。


渡邉

逆に日本株の7割くらいが海外の投資家の所有だと言われてます。

安田

うーん、なるほど。都心部のマンションが売れ続けているのも、買っているのはほとんど海外の人だと聞きますし。1億円近いワンルームでも即完売って、すごい時代になりましたよね。


渡邉

もう日本人じゃ買えないですよね。

安田

でも海外の中心部に比べたらまだ安いんですよ。だから「今のうちに買っておこう」と思うんでしょう。


渡邉

株式市場も同じで、日本株は割安だって言われていますから。もちろん銘柄によりますけど。

安田

そうですね。だからセブンイレブンみたいな大企業が、もっと小さな会社に買収されそうになったりしてるわけで。他の上場企業も買収される可能性は十分にあると思いますよ。

渡邉

でも、日本人って投資に慎重な人が多いですからね。少しずつ意識が変わってきたとはいえ、まだ「貯金が安心」って考える人も多いわけで。もっと個別株にチャレンジしていいと思うんですけどね。

安田

とはいえ円をあえて買おうっていう人は少ないですよね。遅かれ早かれ皆、日本人が貯金することで円を支えているということに気づくと思うんです。そこで一気に円離れが進んだら、どうなっちゃうんだろうと。

渡邉

そうなったら確かに、ハイパーインフレになる可能性も出てきますよね。

安田

そうですよね。日本では取り立て騒ぎは起きにくいとはいえ、のんきに構えていられない状況にはなってきてる気がします。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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