第34回 「赤字社員化」させないためにやるべきこと

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第34回 「赤字社員化」させないためにやるべきこと

安田
会社には利益をもたらす「黒字社員」と、いるだけで赤字になってしまう「赤字社員」がいると言われていますが、「赤字社員」にも2パターンあると思っているんです。

渡邉
給料の3倍の粗利を作れないと「赤字社員」だと言われますよね。それをさらに分類するわけですか。
安田
ええ。赤字社員の中でも、元々仕事ができなくて赤字から赤字の「赤赤社員」と、黒字だったのに赤字になってしまう「黒赤社員」がいるんじゃないかと。

渡邉

ほう、なるほど。「赤赤社員」はわかりやすいですけど、「黒赤社員」というのはどういうケースなんですかね。元々活躍していて黒字社員だったけど、何らかの理由でその後赤字社員になってしまったということですか。

安田
仰るとおりです。その2パターンのうち、会社にとってより大きな損害というか、長期的な問題をもたらすのは「黒赤社員」じゃないかと思うんです。

渡邉
へぇ。一見問題が大きそうな「赤赤社員」の方がマイナスは少ないと。確かに最初から仕事ができないとわかっていれば、こちらも相応の対応ができるのかも。
安田
そうなんです。それに赤赤社員って「自分が会社に貢献できていない」ことには自覚的だったりするので、居心地が悪くて早期に辞めてくれたりもするわけです。一方「黒赤社員」は、かつて活躍していた頃に評価され出世していたりするので、意外と長居されてしまう。

渡邉
ああ、なるほど! 確かに現場で成果を上げた人が、「ご褒美出世」で管理職になっていることは多いですよね。でも現場の仕事と管理職の仕事って全然違うので、管理職でも成果を上げられるとは限らないわけで。
安田
問題はそこなんです。管理職としての仕事ができなくても、若い頃に活躍した人だから会社としても無下にはできない。一方、若い部下からすると「仕事のできない上司がなんで自分より給料が多いんだ」って不満に感じますよね。

渡邉

ははぁ、なるほど。結果、無能なマネージャーを高い給与で雇い続けなければならなくなる。それだけでなく、周りの社員に悪影響を及ぼす存在になってしまうと。

安田
そうなんです。ただ、すべてが本人のせいとも言えないんですよね。日本の会社って、「現場で活躍した人がマネージャーになって給料が上がる」という仕組みになっているじゃないですか。

渡邉
営業会社なんかだとまさにそうですよね。プレーヤーで成果を上げた人が必ずいいマネージャーになれるとは限らないのに。とはいえ経営者側の意見で言うと、そこの判断ってすごく難しいんですよ。
安田
そうですね。そもそもマネージャーに求められる資質も変化してますし。一昔前は一生懸命やれば業績が上がる時代でしたから、「部下からの人望のある人」という資質が大事でしたけど。
渡邉

確かに今はそういう部分より、「組織や商品に合わせた販売手法を編み出せるかどうか」の方が重要な気がします。そう考えると、プレイヤーの時から「仕組み化」を意識できる人は、マネージャーとしてもきっと優秀なんでしょうね。

安田
なるほど。「現場で活躍し続けてもらうべき人」と「管理職になってもらう人」を見分けるには、自分で仕組み化できるかを見ればよいと。

渡邉
そうですね。新しい商品の売り方を考えてもらったりすると、いいテストになるかもしれません。部下に対するマネジメント力を見るのであれば、プロ人材など外部の人と仕事させてみるのもいいと思います。
安田

つまり外部人材との関わり方から、その人に部下をつけた時の接し方をイメージするわけですね。でもプロ人材だと、どんな人の下についても勝手に成果をあげちゃうんじゃないんですか?


渡邉
プロ人材と一口にいっても、いろいろなジャンルがいますから。例えば「営業のプロ」を下につけたとしたら、「どう依頼したらいいパフォーマンスを出してくれるか」を考える必要がある。そういうところからマネジメント力が見えてくる気がします。
安田

なるほどなぁ。これからマネージャーにするかどうかを見極めるために、一時的にプロ人材を部下としてつけてみると。


渡邉
そうですね。「初めて一緒に仕事をする人とどう関わっていくのか」を自分の頭で考えられる人は、部下のマネジメントも比較的できると思います。
安田

確かに、言われてみるとそうですね。外部の人との関わり方を見る中で、「この人はマネジメントに向いてないな」と感じるのはどういう人ですか?

渡邉
プロジェクトのビジョンが伝えられない人は難しいですね。それを伝えてもらわないと外部の人も動きようがないので。
安田

ははぁ、なるほど。プロジェクトの目的と、そこに至るプロセスがきちんと理解できていて、なおかつ外部の人にも共有ができることが重要だと。


渡邉
そうですそうです。けっこう高度なコミュニケーション能力が求められますけど、マネジメントには不可欠な部分だと思います。
安田

そこをプロ人材で試すっていうのは面白いですね。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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