第58回 人材確保のためのM&A

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第58回 人材確保のためのM&A

安田
円安が続くこの状況を、住宅業界の経営者さんはどう見てるんでしょうか。材料費も高いし、ますます家が建てられなくなるんじゃないかと言われてますけど。

渡邉

仰るとおりですね。物価の上昇を考えると値上げしていかないといけないんですけど、円安で国民全体が貧しくなっているので、買える人は減っている。なかなか難しい状況ですね。

安田

住宅ローンが組めない、たとえ組んだとしても返せないという感じですもんね。


渡邉

そうなんですよ。仮に組めたとしても少額だったりして、そうなったら当然、買える家の幅は狭まってしまう。

安田
しかも金利は上がっていくと言われているわけで、当然返済額も増えていく。そうなればますます安い家しか検討できなくなってしまう。

渡邉
そういう意味では、ここ1〜2年が駆け込み需要の期間だと言われていますね。今はまだ「金利が上がる上がる」と言われている段階で、実際に上がっているわけじゃない。だからこそ「早く買わないと!」という(笑)。
安田
ああ、なるほど。そういう方たちは、固定金利で購入するんでしょうね。変動金利だと急ぐ理由はなくなっちゃうわけで。

渡邉
ええ、そうだと思いますね。ちなみに僕自身も5年ほど前に固定金利に切り替えました。
安田
ああ、そうなんですね。まぁでもそういう駆け込み購入も1〜2年で収まり、その後はいよいよ安い住宅しか売れない世の中がやってくると。

渡邉
そうですね。その頃になれば「ローコスト住宅」の層がぐんと増えてくると思いますね。今までもありましたけど、それがより拡大・定着するというか。
安田
ふーむ。ローコスト住宅というと、「現場に人がいなくても建てられる家」なんて言い方をされますよね。最近だと3Dプリンター住宅みたいなものもあると聞きます。そういうのだと、3日くらいで建てられちゃったりするとか。

渡邉
確かに遅かれ早かれそういう時代が到来すると思いますね。もっとも、3Dプリンター住宅はまだまだ実験段階と言うか。仕様が厳しく決まっていたり、そもそも建てられる場所が限られていたりして。
安田
へぇ〜、そうなんですね。でも、工場で完成に近い状態まで作ってから、現場に来て数日でパタパタっと組み立てるような作り方は既にありますよね。
渡邉

ああ、全然ありますね。要するにプレハブってやつですが、そういう作り方をする家は増えてきていると思います。

安田
ああ、そうか。確かにプレハブだ。ただそう言われるとなんとなく心配になりますね…耐久性とかは大丈夫なんでしょうか。

渡邉
基準を満たして建てられているので、もちろん問題はないですよ。単純に現場以外で作っているというだけなので。
安田

ふーむ、そうだとしても、個人的にはちょっと抵抗あるなぁ。それなら既に建っている中古物件なんかで探したほうがいいようにも思います。


渡邉
ああ、確かにこれからは、大都市圏を中心に中古市場が活性化していくと思います。まぁ、地方はまだ土地が安いので、新築需要は続くでしょうけど。
安田

確かに地方だと、「1000万円かけてリフォームするなら、建て替えた方がいい」なんて言われますもんね。最近だと1500万円あれば新築が建てられると聞いて、ずいぶん安くなったんだなぁと驚いたんですけど。


渡邉
昔は大工さんが手間暇かけて建ててたので、人件費がもっとかかっていたんでしょうね。ちなみに最近は、800万円くらいで価格提示している建設会社もありますよ。
安田

800万で家が建つんですか! それは安いですね!


渡邉
まぁ、その後なんだかんだオプションを付けていって、結局2000万円くらいになっちゃったりするんで、なんとも言えないですけどね(笑)。
安田

ああ、なるほど。オプションなしだとすごく質素な家になっちゃうと(笑)。まぁ、「なんでもいいから土地付きの一軒家を持ちたいんだ!」という方にはいいんでしょうね。

渡邉
確かに日本って、他の国に比べると「絶対にこういう家に住みたい!」ってこだわる人が少ない気がしますね。どちらかというと「所有すること自体に意味がある」という感覚が強い。
安田

ああ、わかる気がします。ある種の名誉欲というかね。それに、購入しちゃったほうが賃貸で家賃を支払い続けるより得、みたいな損得勘定もある気がします。

渡邉
確かに確かに。まぁ、実際は賃貸の方が安く済んだりするんですけどね。現金一括で買うならまだしも、ローンを組めばかなり支払総額は高くなるので。
安田

ちなみに以前のお話では、住宅業界がシュリンクしてきているということでしたよね。これから円安が続いて金利も上がっていくとなると、大手だけでなく小さいハウスメーカーさんにも影響が出てきそうですけど。

渡邉
そうですね。小さな会社さんや、これといった特徴のない会社さんは、大手に吸収されたり廃業する流れが出てくると思います。
安田

ふーむ、なるほど。逆に大手の視点で考えれば、人材獲得のチャンスにもなりそうです。

渡邉

仰るとおりです。どんな会社に吸収されるかによりますけど、いい会社だったらそのまま残る人も多いですからね。

安田

社員さんとしてはある意味ラッキーというか(笑)。ブランド力もあって集客もできるような大手に買われたら、待遇もよくなりますもんね。買った方の会社としても、働き手が一気に増えるわけで、ウィンウィンですね。

渡邉

実際、人材確保のためにM&Aをするところがどんどん増えてるんですよ。それくらい業界の人手不足問題が深刻だとも言えますけど。

安田

なるほどなぁ。ちなみにランリグさんはそういうM&Aの支援はやらないんですか?

渡邉
一応細々とはやってますが、ランリグのスタンスとはあまり相性がよくないというか。「それは全部売らずに10%くらいにしておいた方がいいんじゃないですか?」なんてアドバイスしてしまったりして(笑)。
安田

M&A会社では絶対やらないようなことをやると(笑)。

渡邉
そうなんです。M&Aを事業として大々的にやるなら、もっとシビアに背中を押さないといけないんでしょうけど、どうしても寄り添いすぎてしまうんでしょうね。

対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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