第63回 業務委託の「本当の価値」とは?

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第63回 業務委託の「本当の価値」とは?

安田
何度かこの対談でもお話ししましたけど、正規雇用だけで組織を作っていくのは限界があるんじゃないかと思っていて。

渡邉
それはそうでしょうね。
安田

正規雇用って「9時から5時とか6時までの時間で、言った通りの仕事をしてもらってお金を払う」という、いわば時間を買っている制度じゃないですか。そういう状況では、自分で研修を受けたり勉強したりして仕事に活かそう、という人はなかなか出てこない。


渡邉

うーん、確かに。利害関係がそもそも一致してないんでしょうね。真面目に働く人は多いんですけど、あまり欲がないというか。

安田
そうなんですよね。でも最近は少し変わってきた気がしていて。報酬に見合った仕事をする人が増えたというか。私の知り合いで労働法に特化した弁護士さんがいるんですけど、その方曰く、日本の労働者の価値観が世界基準に近づいてきたらしいんです。

渡邉
へぇ。日本の労働者って、まずは会社の利益のために一生懸命働いて、報酬や立場は後から付いてくるっていう発想ですよね。
安田
そうそう。でもそんな労働者は日本にしかいないらしいです。海外は真逆で、とにかくまずは報酬ありきで、その報酬に見合った働きをするのが一般的なんです。

渡邉
確かにそうですね。報酬が安いと感じたら躊躇なく転職するイメージです。日本の労働者もその感覚に近づいているわけですね。
安田
そうそう。スキルアップするにしても、会社の中で研修を受けて業務の幅を広げるのではなく、自分の報酬を上げられる分野・対象を選び、会社とは関係なくスキルアップするわけです。

渡邉
ふーむ。まぁ、これまで日本の労働者って法律ですごく守られてましたけど、だいぶ状況が変わってきてますもんね。「会社にいれば一生安心」という感覚は既にないでしょうし。
安田

ええ。特に大企業なんてそうでしたよね。仕事ができない人でも生涯賃金3億円とか稼げてしまったわけで、「入ってしまえばこっちのもの」のようなところがあった。その代わりに「上の命令は絶対」という価値観を受け入れることがトレードオフだったわけですけど。


渡邉
確かにそうですね。それが今や40歳過ぎたら役職定年が始まって、給料はどんどん下がっていくしリストラもされるとなると、働く側もドラスティックに変化せざるを得ないんでしょうね。
安田
そういうことです。そして企業側も変わりましたよね。昔だったら新卒じゃなければ絶対に入れなかったような有名企業でも、今や20代の採用の半分が中途採用ですからね。
渡邉

大手は大手の中でローテーションされてますよね。いろんな会社を経験しながら育っていくのがスタンダードになりつつある。「新卒で東芝に入って死ぬまで東芝」っていう人もいるにはいるでしょうけど、全体の1割以下じゃないかな。

安田

そうですね。どのみち企業はもう生え抜きだけでは戦えませんからね。他の会社を経験してからまた戻ってくるような「アルムナイ採用」も増えてきましたし、もはや手段を選んでいる余裕はないんでしょう。


渡邉
確かに。昔はわりと感情的に「1回辞めたら二度と敷居をまたがせない」という感じでしたけど、今はもう「いつかは辞めるもの」という考え方になってきてますよね。
安田

ちなみに働く側の変化でいうと、能力が高い人ほど業務委託的な働き方をするようになってますよね。仕事ができる人は、時間で売るよりも成果で売った方が遥かに収入が増えて自由になりますから。


渡邉
本当にそうですよね。昔は仕事ができる人って朝から晩までバリバリ働くイメージでしたけど、最近はいい意味で暇な時間を作っているというか。「明日から1週間沖縄でワーケーションします」とか「ちょっとスウェーデン行ってきます」とか(笑)。
安田

そうそう(笑)。仕事ができる業務委託は皆そんな感じですよね。集中してガーっと稼いで、1ヶ月くらい休むとか。時間も収入も自分でコントロールできるようになりますからね。


渡邉
それってすごくいい働き方ですよね。そう考えると、この時代に社長になって社員を抱えるメリットって何なんだろうと。逆に不自由になる気もしますよね。
安田

まぁ、それは単純に拡大志向の人だということですよね。事業意欲があって、「世界を代表する会社にしたい」とか「上場企業を作りたい」とか。いくら優秀でもひとり法人で10億は稼げないわけで。


渡邉
何億も稼がなくても、2~3000万円ぐらい稼げて、好きな時に休める方がいいという人がひとり法人を選ぶわけですもんね。
安田

そうそう。「数千万なんて小さな稼ぎじゃなく、数十億とか、大谷翔平選手を越えるくらい稼ぎたい」という人もいますからね。そういう人は組織を作るしかないし、むしろ組織を動かす方が向いていたりする。

渡邉
確かに、自分で直接手を動かすよりも、お金と人を動かしながら成果を上げるのが得意という人ですよね。
安田

ええ。もっとも、組織を広げなくても、プロ人材を活用すれば大きなビジネスをすることは可能でしょう。大手でも業務委託を使うことが増えてきてますけど、中小企業こそ早く価値に気づいてどんどん取り入れてほしいですね。


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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