第74回 稼ぐフリーランスの条件は「商品化力」

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第74回 稼ぐフリーランスの条件は「商品化力」

安田

フリーランスという言葉はよく聞きますが、稼げる人とそうでない人の違いって、スキルの有無だけで語られがちですよね。でも実際はスキルが高いからといって必ずしも稼げるわけじゃない。


渡邉

確かに。スキルはそこそこでも、売り方が上手な人は意外と稼いでいたりしますからね。

安田

そうそう。そう考えると「販売力」って大事だと思うんですよ。でもなかなかスキルの高いクリエイターさんで「販売力」もある人って少ない気がして。


渡邉

そうかもしれませんね。年収1000万円稼げている人は稀なんじゃないかな。

安田

でも年収1000万円って、とにかく時間を掛けて頑張れば達成できるラインなんですよ。だから目安としては1500万円以上稼げるかどうかだと思っていて。


渡邉

ははぁ、なるほど。年収1500万円以上稼いでいるクリエイターとそうでない人って何が違うんでしょうね。

安田

商品開発の話でも出ましたけど、やっぱり「自分の商品を持っているかどうか」じゃないですかね。その人のオリジナル商品、つまり「渡邉さんといえばこれ!」っていう代名詞になるようなものがあるかどうかで大きな違いが出る気がします。


渡邉

ああ、なるほど。「オリジナル商品=自分で価格を決められる」という点は大きいですよね。

安田

ええ。コンスタントに1500万円を稼ぎ続けるには、何らかの「型」が必要になると思います。


渡邉

確かに、成功している人って自分の型に顧客を引き込むのが上手ですよね。自分のスタイルを顧客に合わせるんじゃなくて、顧客を自分のスタイルに引き込んでいる。

安田

ええ、まさに。石原明さんなんかがそうでしたね。1時間30万円もするコンサルタントでしたけど、常に行列ができていて。宿題は一切持ち帰らないというスタイルで有名でした。その場で全て解決し、資料も全部その場に置いて帰るんです(笑)。


渡邉

それはすごい(笑)。本当に自信がないとできないことですよね。

安田

それでも顧客がついてくるわけですからね。そのスタイルには憧れますけど、実際にやる勇気はなかなか出ませんね(笑)。

渡邉

そりゃそうですよ(笑)。資料を置いて帰るなんて、やっぱり「大丈夫かな?」と思ってしまいますもん。

安田

でもそれが彼の「型」として確立されていたからこそ、一つの「商品」になっていたわけで。


渡邉

本当にそうですよね。一方で、社長に完全に寄り添った「御用聞き」タイプのプロもいますよね。

安田

いるにはいるでしょうけど、それだけで高い報酬を得るのは難しい気がします。例えばサザエさんに出てくる三河屋さんも御用聞きですけど、彼は他から仕入れたお酒や醤油などを販売しているだけで、それだけで年収1500万円は厳しいと思いますよ。


渡邉

確かにそうか。御用聞きで顧客満足度を高めても、それに対するフィーには限度がありますしね。つまりそこではない別の「価値」をどこで生み出すかが大事になってくる。

安田

そう思います。例えばロゴデザイン一つとっても、大企業だと何百万、何千万と投資して、半年くらいかけて考えたりしますよね。


渡邉

確かに。100案くらいの中から選んだりしますもんね。

安田

そうそう。一方で、多くの中小企業はロゴ1個に50万円と聞くと「高っ!」となってしまう。クラウドソーシングと比較されて「向こうなら1案3000円で50案くらい集まったよ」なんて言われると……(笑)。


渡邉

ありますね(笑)。「ネーミングってそんなに高いの?」と言われたり。それが売上に大きな影響を与えることは事実なので、その「価値」を理解していただければご納得いただけるんですけど。

安田

「価値」でいうと、ピカソの有名な話がありますよね。レストランで「このナプキンに絵を描いてくれ」と頼まれたピカソが、5秒くらいでちょろっと描いた絵に100万円の値をつけたという(笑)。

渡邉

「5秒で100万円」とだけ聞くととんでもない気がしますけどね(笑)。でもその5秒はピカソにとっては生涯を通じて積み上げてきた全ての成果なわけで、それこそが「価値」であると。

安田

そうなんです。デザインやネーミングでも、それ自体を売るのではなく、その商品が持つ「価値」をパッケージ化して売ることが大切なんですよね。そのネーミングによって生まれる価値が見えれば、50万円でも安いと思ってもらえるので。

渡邉

納得です。ちょうど今、自分の提供するサービスにどう価値付けをしていくかを考えていたところで。そこが一番の課題だなと。

安田

顧客が既に持っている答えを提供しても価値を感じてもらえないので、「こんなやり方もありますよ」「こっちの方が効果が出ますよ」というような、まだ顧客の気付いていない答えを言語化できるといいですよね。

渡邉

ははぁ、なるほど。「ネーミングをしっかりやれば、業績がこれくらい上がると思います」みたいな提案ができれば、確かに印象変わりますもんね。

安田

そういうことです。「中小企業の99%は知らないからここに投資していないだけで、大手は500万円くらいかけてやってます」なんて言われたら、多くの経営者は興味を示すと思いますよ。そうやって商品化できれば50万円でも「安い!」となって売れていきますから。


渡邉

なるほど、確かに売れていく場面が目に浮かびますね。商品の価値を見せることが重要なんですね。

安田

ええ、まさにそこがポイントだと思います。


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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