第80回 プロ人材が支える中小企業の採用戦略

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第80回 プロ人材が支える中小企業の採用戦略

安田

住宅業界の人手不足が深刻だという話をよくしてますが「その道のプロ」事業がそういう状況を支える存在になっているんじゃないかと思っていて。


渡邉

そうですね。どの職種も多くのご要望をいただいてますが、中でも「採用や求人に特化したプロ人材」のニーズは特に高いです。

安田

ああ、なるほど。具体的にはどういうタイプの人材を紹介してもらえるんですか?


渡邉

大きく分けて2種類ですね。1つは、「日常的な実務をアウトソーシングできる人材」。もう1つは、「採用戦略やコンセプトを考えることができる人材」です。企業によってどちらを求めるかは異なりますが、どちらも非常にニーズが高いですね。

安田

昔は「外注するよりも社内スタッフでやった方が安上がりじゃないか」みたいな感覚の会社が多かったように思いますが、人手不足でもはやそんな余裕もなくなってしまったと。


渡邉

ええ。スカウトメールの送信や求人票の作成、日程調整など、採用業務って実は細かい作業がたくさんありますからね。企業側もそこに時間を割けなくなってきていて、アウトソーシングの活用が増えています。

安田

なるほど。テレビCMを見ていると、皆が採用に苦労しているのがよくわかりますよね。聞いたことがない企業がバンバンCMを流していたりすると、「ああ、これは完全に採用目的だな」なんて思うんです。


渡邉

確かに昨今は「採用のためにテレビCMを打つ時代」ですからね。大手企業も相応の知名度がなければ苦戦している印象です。

安田

そうそう。大手でさえ採用に苦戦しているわけですから、中小企業にとっては尚更ですよね。採用戦略をしっかりと考えないと、ますます難しい状況になっていくばかりでしょう。


渡邉

仰るとおりです。だからこそ、採用の実務だけでなく、戦略的にどうやって人材を獲得するか、企業が自分たちの強みをどのようにアピールするかをしっかり考えないといけない。

安田

そこで採用戦略のプロが登場するわけですね。


渡邉

仰るとおりです。そのあたりの戦略は素人には作れませんからね。まず「誰をターゲットにするのか」、そして「どのようにその人たちに響く求人を作るのか」ここをプロのノウハウを使って設計していく。ターゲティングが甘いと、いくら求人を出しても効果が薄いですから。

安田

なるほど。ただ漠然と人を集めるのではなく、ピンポイントで狙いを定めると。100人中99人は振り向いてくれなくても、1人にはグッと刺さるような……まるで恋愛みたいですね(笑)。

渡邉

まさにそんな感じです(笑)。さらに採用後の定着も課題になってきますから、定着率を上げるための取り組みも欠かせません。

安田

定着率を上げるためには、具体的にどんなことをするんですか?


渡邉

例えば入社直後であればオンボーディングの仕組みを整えたり。長期的には、評価制度の構築や、社員同士のコミュニケーションを活性化させるための文化づくりなども効果的です。

安田

なるほど。今の20~30代って、そもそも条件の良い中堅企業が積極的に採用していることもあって、条件面の基準が上がってきていますよね。「最低ラインをクリアしないと応募すら集まらない」という状況になってきている気がします。


渡邉

確かに「仕事との相性」や「やりがい」の前に、まず条件が重視されることも多くなりましたね。条件面を見直すとなると、組織のあり方から考えないといけない場合もあるので、より深く入り込んでいく必要があります。

安田

なるほどなるほど。評価制度や組織の文化から変えていかないといけないですもんね。


渡邉

そうですね。そこまでの範囲になると、採用のプロだけではなく、ブランディングや制度設計に長けたプロ人材との協力が不可欠になってきます。

安田

逆に言えば、そこまで幅広くフォローしてもらえるのは頼もしいですね。何しろ人が採用できなければ、最悪事業自体が成り立たなくなってしまうわけですから。


渡邉

実際、建築業界ではそういうケースを耳にするようになっていますよ。採用がうまくいかず、むしろどんどん人が辞めていってしまって、倒産の危機に直面している会社も珍しくないみたいです。

安田

ははぁ、そうなんですか。ちなみに辞めていく一番の理由ってやっぱり給料なんですか?

渡邉

そうですね。転職すれば給料が上がると分かっているからこそ、今の職場に留まる理由が薄れてしまうんです。これまでならキラキラした企業理念や若手向けのイベントなどで引き留められたけど、今ではそれすら「やりがい詐欺」と言われてしまいますから。

安田

まぁ、そこで言うやりがいって、結局社長のやりがいだったりしますからね(笑)。

渡邉

そうなんですよね(笑)。社員が「会社のために人生を捧げる」なんていう風潮は終わりましたから、今ではやりがいだけで引き留めるのは難しいですよ。

安田

今は働く側も余裕がなくなってるんでしょうね。物価もどんどん上がっているし、会社が給料を上げてくれないなら、自分が動くしかない。

渡邉

本当にそうですね。さらに最近は、フリーランスやプロジェクト単位で仕事をするスタイルが広まり、組織に属さずに働ける選択肢も増えてきましたから。

安田

働き方の自由度が増しましたもんね。その上で雇用を続けるなら、初任給の引き上げは避けられないでしょう。3年以内に30万円まで上げるくらいでないと難しい気がします。


渡邉

確かに。それを下回るとそこそこ仕事のできる20代は雇用できないかもしれませんね。


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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