レバレッジを効かせる。
それは、テコの原理のように、
小さな力で大きな力を生み出す手法。
つまり小さな会社にこそ、
このようなアイデアは必要なのである。
だが実際には、
合併、拡大、独占など、
スケールメリットによる高収益化を
指す場合がほとんどだ。
スケールするにはどうしたらいいか。
これは、若く、野心家の経営者から
寄せられる典型的な相談だ。
とにかく規模を大きくしたい。
損益分岐点を超えたときに、
爆発的な収益を生み出すから。
これが彼らの頭の中にある
レバレッジの図式なのである。
もちろん、どんな事業にも、
スケールメリットは存在する。
仕入れ、物流、販売など、
拡大による効率化で価格競争力が上がり、
市場を独占できるという流れ。
それは間違っていない。
だが当然のことながら、
大きな会社には大きな会社同士の競争がある。
勝ち残るためには、
更なる効率化を推し進めなくてはならない。
ここに、ひとつの問題が登場する。
それは「会社としてのレバレッジ」を追求
すればするほど、「個人としてのレバレッジ」が
失われていくという事実だ。
誰がやっても、同じように成果が出る手法。
それは組織としてのレバレッジに直結している。
ファストファッションも、コンビニも、
店舗ごとにオペレーションを作り込んでいたら、
効率が悪くて仕方がない。
商品も、陳列も、物流も、価格も、
販売手法も、統一することが競争力の源泉だ。
だがそれは個人としてのレバレッジの喪失を意味する。
誰がやっても成果が出る仕事は、
最も報酬の安い仕事なのだ。
組織として高収益を上げ、
それをみんなで分配すればいい。
もちろん理屈はそうである。
だがそんなことをすれば、
会社に残る利益が減ってしまう。
つまり、レバレッジの効いていない
ビジネスになるということ。
そもそも、個人のスキルに依存しない
仕組みを作るのは経費を下げるためである。
いかに個人のスキルに依存しない
ビジネスモデルを構築するのか。
いかにして経費を下げるか。
それが組織としてのレバレッジ。
いかに自分しかできない仕事をするのか。
いかにして自分の時給を上げていくのか。
それが個人のレバレッジ。
そもそもレバレッジが
真逆のベクトルを指し示しているのである。
標準化されたコンビニが
増えれば増えるほど、本体は儲かる。
だがFC店長は儲からない。
当たり前の話だ。
問題はこの事実に、
現場が気づいてしまったということである。
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1件のコメントがあります
最近、標準化された飲食店には、あまり行きたくなくなりました。但し、家族で行く場合、下の子が高校生でサイゼリア等のお安いお店の居心地がいいようで、その際はチェーン店になります。サイゼリアが悪い訳ではありませんが、一例です。
以 上