【読むPodcast | マネトレ37-後半】「婚約者の不義が発覚。保証としての株式譲渡。」第116回

「婚約者の不義が発覚。保証として会社の株式を譲渡するといわれたけれども、譲渡時に何を気を付けてよいかわからない」 という質問者さん。非上場の法人株を所有するときの注意ポイント3つを解説します!(音声はこちら

>>>大久保圭太氏のプロフィール

円道

「保証として株渡すから」ケースは今まで聞いたことあります?

大久保

ないない。慰謝料と株価とどっちが高いかっていうのは考えたほうがいいかもしれないね。

円道

あ~、そうね。

大久保

株のところで言うと、まず株価がいくらなのかっていう問題が少しあると思ってて。ただ、一緒になろうと思ってて10パーもらうから、そういう意味じゃ、そんなに株価は気にしないのかもしれないけど、本来は純資産の額がどれぐらいか、いわゆるM&Aじゃなくて税務上の金額で、まず贈与税がかかんないかだよね。前回のお年玉の話じゃないけど、110万以上だったらさ、お年……あ、お年玉じゃないや(笑)えーと……あの……

円道

株ね(笑)株も110万が基準?

大久保

時価を足して、そう。ということになるので、まずそこをチェックしなきゃいけないよね。「B/Sを見せろ」と。

円道

なるほどなるほど。ポイント1。

大久保

「B/S見せろ」。債務超過だったりしてね。「こんな株いらねえわ!」って(笑)

円道

ホントですね。たしかに。

大久保

あり得るよ、ぜんぜん。まあ、それは一緒になって伸ばしていくんだったらいいんだろうけどね。だから納税の義務っていう意味では、そこの価値はちゃんと算定しなきゃいけないっていうのと。

円道

株価の価値?

大久保

株価。で、いま結構M&Aが多いじゃない?そうすると、やっぱいろんな問題が出てきてさ。まず、中小企業の株って……

円道

あー、それ知りたいですね。

大久保

すっげえ教えたくなくなった、いま(笑)

円道

よけいなこと振った(笑)

大久保

いわゆる株券ってたぶん見たことないと思うんだ、みなさん。昔は全部刷ってたんだよね。刷ってて株券を発行してたんだけど、会社法で不発行でいいっていうふうになったんで、ほとんどの会社が原則不発行なのかな、いま。要は何もないのよ。

円道

実体っていうか、物理的に?

大久保

そう、紙も何もない。なんだけど、もともと発行してた会社っていうのは、株券があとから出てきたら負けちゃうんだよね、こっちが。

円道

ほお。それはどういう意味ですか?

大久保

そもそも未上場の株主って登記されてないのよ。登記されてないから、わかんないのよ。それは何で証明できんのかっていったら株主名簿だけなんだけど、株主名簿をつくってる会社って中小企業はあんまなくて、申告書の2枚目か3枚目ぐらいに「別表2」っていうのがあって、そこに株主が書いてあるっていう。たぶんそれが公のほとんどの、その書類だけが株主を……

円道

誰が株主であるかというのの証明になる?

大久保

そうそう、証明になる。で、税務署は見てるから、株主、さっき言った贈与の話じゃないけど、移動したらちゃんと資金が、たとえば親から子どもに急に移ってたら「いくらでやったんだ?」みたいになるから、それはチェックしてるので、だから、この方、もらうときは申告書の別表2を見たほうがよくて、誰が株主なのかっていう。

円道

やべえ、生々しいな(笑)

大久保

いやいや、これ結構あるんだけど、株券もともと不発行ならいいの、彼の会社が。彼が継いでて発行会社だった場合は出てくる可能性がある。これ、結構M&Aでも問題なんだけど。

円道

株券が出てきちゃう?

大久保

そう。出てきたら、そいつに負けちゃうんだよね。

円道

それって認識している株主と実体で出てくるのが違うっていう。

大久保

だってわかんないじゃん。だって、俺が株券持ってる側になったらさ、だいたい買うところって業績いいところだろうから、そこを売ったあとに出ていくよね。「おいおい、それ無効や」っていう話をしてたら取れるもんね。そういう案件結構いま……それは悪意があるかどうかは知らないけど、本当はM&Aの仲介のやつらがやればいいのにさ、1年間とかほっといた案件とかいま来ててさ。“頭パー”トナーズがさ。名前言えねえけどさ。

円道

ほぼ言ってる(笑)

大久保

(笑)いや、「何してたの?」みたいな。まあ、不発行に変更できんのよ。公告出して株主に個別通知して、それで登記して不発行に変更できるんだけど。

円道

それ、株主の許可を得たら……

大久保

得て。だけど、その株主が違ったっていう訴えをされるわけじゃない?その株券持ってる人が「聞いてねえ」と。ってなったら、この株主総会自体を無効にできるから、永遠にこれリスクが、正直言って……と言われてる。

円道

これ、発行されてた場合のケースですよね。

大久保

されてた場合はね。どっかには絶対あるから。それが燃えたとか、株券が一部ありゃいいんだけど、まったくない場合は怖いよね。

円道

それって……細かく変にいきすぎますけど、燃えちゃってて、なくしちゃって、っていうのはどうなるんですか?

大久保

それはある。

円道

「でも持ってるんだよ」って主張はどうやってできるんですか?

大久保

持ってなければだめ。物がなきゃ。

円道

じゃあ「持ってない」ってことになるんですか?

大久保

なる。

円道

あ、そういうもんなの?

大久保

うん。

円道

「どっかに書かれてるじゃん」みたいな。

大久保

書かれてて、他の株主の合意がとれてればいいよ。

円道

ああ、そういうことか。

大久保

だから個人でいい。だけど、ないのは「ないよね」っていう話になるから。

円道

なかなか株の保有って、結構怪しいですね。

大久保

そう、怪しい。だから、気をつけたほうがいいのは、見ないじゃない?どうせ「あげる」って言われたって。

円道

見ない。

大久保

そうすると「あげる」って言われてあげてないかもしれないわけじゃない?そうすると、ちゃんと別表2が書き換わってるかどうか見なきゃいけないのよ。不発行かどうかまずは。その株に価値があるか。だって、それでM&Aやるとき、そのリスク排除するのに、会社分割したり事業譲渡したりして箱替えたりするからね、ホントにリスクあるときは。だって、誰出てくるかわかんないじゃん?

円道

たしかにね。いきなり変な人出てくることあるんですか?

大久保

いままではないけどね。

円道

まあ、可能性としてはありますよね。

大久保

当然あるよね。

円道

当時の先代とか、何してるかわかんなかったりね。

大久保

逆に持ってる側をアドバイザーにしたら……「先代がいろんな人に株をばらまいてた」って言って、それが口頭なのよ。もう訳わかんないのよ、株主名簿。グッチャグチャで。

円道

その場合って結局どうなるんですか?何もないじゃないですか、実体が。

大久保

別表を追ってって、最後は「えいや」でやるしかないよね。リスク取れるかどうかになっちゃうから。まあ、ちょっと話は逸れたけど、そのへん経営者の方とかが聞いてたら、ちゃんとそれ見たほうがいいっていうところと、いずれは売るなり何なりするだろうし、変な株主出てきて嫌なんだったら、ちゃんと不発行に早いうちに変更して、株券あるならちゃんとそれも集めといて。そのぐらい重要。プラスあと譲渡制限って、これももう1個あって。

円道

ポイント3、譲渡制限。

大久保

要するに、株主総会とか取締役会の許可がないと売れないようになってるっていう。ほとんどそうなんだけど、たまにないケースがあるんだよ。

円道

ん?「ない」って?

大久保

ほとんどは許可を得ないと売れないのね。やっぱ非公開なんて身内の会社だったりするからさ、勝手に売られたら困るじゃん?だけど、たまにない会社があって、そうすると自由に売れちゃう。

円道

「ない」っていうのは「やらなくていい」ってこと?

大久保

(笑)そう。勝手に売っていい。要するに第三者に売っていいから、譲渡制限がないとある意味反社に売ってる可能性がある。

円道

譲渡制限のない株券?

大久保

株式。

円道

株式か。というのを発行しちゃってると……

大久保

不発行だと完全に目に見えないから、そうするとこういうケースみたいに……。だって、過去の浮気の清算で勝手に渡しちゃうわけでしょ?他にもやってるかもしれないからな(笑)

円道

なるほどな(笑)ようそんな話を思いつき……たしかにね。

大久保

だって、わかんないじゃん?そんなの。

円道

株主名簿を見たら、謎の女性たちが並んでるってこと?

大久保

いや、違う違う。女性ごとに全部変えればいいじゃん(笑)私文書偽造です。はい、だめですね(笑)でも、そう考えてるかもしれないよね。

円道

たしかに。

大久保

だって、おかしいもん。普通じゃないよ、株渡すって。

円道

たしかに普通じゃない(笑)まっとうに解釈すればそうですね。

大久保

だから、そういういろんな注意はあるので、ちゃんと定款と謄本を見ないとだめだし、ホントにもらうんだったらちゃんと契約。で、譲渡制限だったら、彼が「渡す」って言っても譲渡をすることを承認してもらわなきゃいけないから、総会に、だからその手続きをちゃんと踏まないと、「そんなの無効だ」って言われたら終わっちゃうんで。もらったつもりが、もらってなかったというふうになっちゃうから。

円道

これ、もらったって実体がわかるためには、総会で承認されて、何が最終的に……

大久保

最終的には、本来は株主名簿だよね。株主名簿が変わってれば。ただ、これは登記とかしないから、変な話、偽造しようと思えば何でもできちゃうんで。ただ、税務署に出してるのだけは一応税務署も見てるから、っていうことぐらいかな。

円道

なかなか、ホントにちゃんと譲渡してもらえるか怪しいですね。

大久保

そうだね。はめられてるかもしれないね(笑)いや、マジメなんだけど。あとは、だから課税の問題はそこの贈与と、あとは配当は今後もらえれば。あとは売ったときには課税されるけど。売ったときに譲渡所得で、配当で配当所得。

円道

でも、売るっつったって、売るときって関係が終わっちゃって返すってことですか?

大久保

違う違う。M&Aで早く売るかもしれないじゃん。

円道

ああ、この法人自体が?

大久保

そうそう。だからわかんないよね。いままで中小企業の株なんてゴミだと思ってたけどさ。売れないじゃん?

円道

本来はね。

大久保

だけど、出口考えるとさ。

円道

売れちゃうと。

大久保

売るんだろうから、ほとんどは。そうすると価値あるかもしれないね。

円道

なるほどね。この方の婚約者の法人、どんな会社やってるのか知りたいとこですね。

大久保

そうだね。まあ、あと、10パーしかないから、あんまり重大なこともできないので、高く売ってくれるのを待つしかないのかなという感じだけど。

円道

これ、最後に質問なんですけど、もらうじゃないですか、で、キャッシュ化したいときに、「株式もういらないから」っていって婚約者さんの方に「会社として買い取ってほしいんだけど」っていう……

大久保

あ、それはできるよ。

円道

でも、義務はないですよね。

大久保

まあそうだね、義務はないね。ただ、誰かにじゃあ売ると、第三者に、反社に売ると、そうしたら譲渡承認しないじゃない?そのときは「じゃあ他の買い手見つけてこい」って言えるから、そのときは会社に買ってもらえるかもしれない。もうちょっと精密にやったほうがいいとは思うけど。

円道

ざっくり、考え方としてはってことですね。

大久保

そうそう。

円道

というわけで、長々社会現象を取り扱ってきましたが。

大久保

(笑)

円道

参考になった点も多いと思いますので。ぜひ頑張っていただいて。

大久保

そうですね。

円道

またもめたりしたら、質問、取り扱える範囲で取り扱えたらと思ってますので、ぜひお待ちしております。

大久保

(笑)はい。

円道

というわけで、本日もありがとうございました。

大久保

ありがとうございまーす。

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