この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。
安田
久野
はい知ってます。どういう理屈なのか分かりませんけど。
安田
初代は立派な創業者で、二代目は創業者を見て真面目に育ち、三代目はただのボンボンでボンクラだから会社を潰す、みたいな感じです。
久野
安田
はい。実際には優秀な三代目もたくさんいますし。ただ三代目に潰れる会社が多いことも事実だそうで。これって相続税の問題でしょうか。
久野
安田
そうですか?「税金が払えなくて廃業する」というケースはよく聞きますけど。家の相続でも税金が払えなくて半分売っちゃう人とかいるじゃないですか。
久野
はい。日本の税制は所有者が移転するたびに税金がかかるルールなので。
安田
会社は半分だけ売るなんてことは出来ないわけで。払えなきゃ廃業するほかないですよ。
久野
会社の場合は税金より事業モデルじゃないですかね。確かに三代目まで相続すると資産は半分以下になります。だけどそれを上回るビジネスがあれば問題ないわけで。
安田
相続税が払えるくらいの利益が出ていないことが問題だと。
久野
はい。今の時代は創業者が作ったビジネスモデルが三代も持たないわけですよ。三代目までいくと40年ぐらいは経っているはずですから。
安田
久野
もちろん相続時が高いということもあるんでしょうけど。ビジネスモデルが進化していないことも大きいんじゃないですかね。
安田
昔は親が会社を残してくれたら食うに困らないくらいの生活はできました。けど今はそんなことないですもんね。逆に資金繰りや人事の問題が大変だったりして。
久野
昔はビジネスモデル寿命も長くて30年ぐらいは食べていけました。今は5年も持たないんじゃないですか。
安田
久野
無理ですよね。親の事業を単純に引き継いでやれるような時代じゃなくなった。だから相続税だけの問題ではないと思います。
安田
とはいえ「日本は相続税が高すぎる」って人も多いですよ。税金逃れのために家族で海外に移住する人までいて。
久野
じつは相続税のない国って結構あるんですよ。ただそこでは基本的にプレイヤーが入れ替わらない。だから貧富の差がどんどん激しくなっていく。
安田
確かにそうですね。富の再分配をするのが相続税なので。「どの家に生まれたか」だけで人生が決まってしまうのは不公平だと思います。
久野
正直、親がお金を持っていない人にとっては相続税なんてどうでもいいわけです。「高い」って騒いでいるのは資産がある人だけですよ。
安田
久野
相続税が「ある国」と「ない国」だったら僕はある国の方がいいです。やっぱり人間は自分で頑張ることが大事なんじゃないかと思う。
安田
久野
安田
久野さんもたくさん税金を払っていると思いますけど。もっと税金が安くなる国に移ろうとは思わないですか?
久野
タックスヘイブンみたいな海外暮らしもありますけど、僕は全く憧れないですね。やっぱり日本っていいじゃないですか。
安田
日本はいいですよ。安全だし食べ物も美味しいし。街は清潔だし。
久野
その素晴らしい日本の使用料だと思えばいいんですよ。そう考えれば安い。
安田
ほんとそうですね。どこに行っても電気もガスも上下水道も完備されていて。電車やバスは安いし時間も正確だし。教育環境も整っているし。
久野
海外行くと日本の良さってわかりますよ。こんなにいい場所はないです。
安田
そのためには相続税くらい払おうと。とはいえ歴史ある老舗企業が相続税でなくなるのも寂しいです。どうしたらいいんでしょう。
久野
トラディショナルな会社でも続けていくには工夫が必要だと思います。今は人不足問題もあるので何かしら新しいイノベーションを生んでいかないと終わってしまう。
安田
久野
そうなんですよ。そういうマインドも引き継いでいかないと。
安田
久野
虎屋でも赤福餅でも長く続くところは新しいことをやり続けてますよ。
安田
「相続税が高いから海外に移住する」なんて発想は根本がずれてるってことですね。
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安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。