第156回 10円クレーンゲームは「令和の駄菓子屋」

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第156回 10円クレーンゲームは「令和の駄菓子屋」

安田

Xで「子どもが万代に行きたいと言ってくれることが最大の武器だ」と書いてらっしゃいましたよね。確かに子どもが行きたいと言えば親はついてきますよね。


倉橋

そうですね。遊びたい一心のお子さんの心をつかめれば、強いですよ。

安田

それはそうですけど、簡単なことではないですよね。万代さんでは実際にどんなことをやっているんですか?


倉橋

まずは子どもが欲しくなるものをたくさん用意しています。ただ、お子さんの予算、つまりお小遣いは限られているので、300円ぐらいで半日遊べるぐらいのコンテンツは必要ですね。

安田

えっ、300円で半日ですか。普通のUFOキャッチャーなんて1回で100円200円しますし、一瞬で終わっちゃいますよね。それに、子どもが300円使うだけだったら、さすがに赤字じゃないですか。


倉橋

お子さんだけで来たら赤字かもしれません。でもお子さんと一緒に親御さんもいらっしゃいますから。

安田

ああ、なるほど。家族で来てもらうことが前提で、子どもの300円はいわば入口なんですね。


倉橋

ええ。家族4人で一日遊んでいただいて1万円ぐらいだったら、結構リーズナブルじゃないかなと思っています。

安田

確かにそうですね。ただ私のイメージだと、子どもが遊ぶお金は親が出すものだと思ってたんですけど。「はい、これで遊んできなさい」って渡すような。


倉橋

それでいうと、実はお子さんには財布が二つあって。親からその場でもらう予算と、自分が貯めたお小遣い。安田さんのお子さんだって、出かけるとき自分のがま口を持っていったりしませんか?

安田

ああ、持ってますね。ただなかなか開けませんけど(笑)。だいたい可愛い顔して親に出させるっていう。でも確かにそうか、子どもが自分のお小遣いでも行きたいと思わない限り、親を連れて行こうとはならないですよね。


倉橋

そうなんです。「親のお金だったら行くけど自分のお小遣いじゃ行きたくない」というレベルだと、子どもマーケティングとしてはまだ50点なんですよ。お子さんにとって土曜日のファーストチョイスになれるように、店を磨き続けないといけない。

安田

選択肢は山ほどありますもんね。で、その300円で半日遊べるっていうのは、具体的にどういう仕組みなんです? 普通のクレーンゲームだと一瞬でなくなりますよね。

倉橋

うちの目玉は「10円クレーンゲーム」なんです。普通なら1回100円のところを、1回10円で遊べるようにしているんですよ。だから100円あれば10回も遊べるんです。

安田

ああ、なるほど。それなら300円でも十分遊べますね。でも10円で取れる景品なんて、すぐに飽きちゃいそうな気もしますが。

倉橋

いや、ちゃんと魅力的な景品を入れてますよ。10円だからといってつまらないものを入れていたらお子さんは見向きもしませんから。

安田

そうなんですね。でもそれだと仕入れ値を考えたら完全に赤字ですよね。それは広告費だと割り切っているわけですか。

倉橋

そういうことです。各店舗には10円クレーンゲームが40〜50台ぐらいあるんですが、お子さんたちが順番を待って並んでくれるくらい大人気で。

安田

は〜、50台もあるんですか。

倉橋

ええ。他にもキッズスペースのような無料の遊び場もあって、うちのクリエイティブ部門がお子さんが楽しく過ごせるように本気で作り込んでいます。

安田

すごいなぁ。そこまでやれば確かに半日は遊べますね。10円だったら親も「そこは自分のお小遣いでやりなさい」って言えますし。

倉橋

そうなんです。4人家族で来たときに、お母さんもお父さんもお子さんたちも、それぞれが楽しめるように店全体を設計しています。子どもは子どもの予算で、大人は大人の楽しみ方で、一つの空間の中でそれぞれの時間を過ごしてもらう。

安田

ははぁ、なるほど。ちなみに「子どもをファンにしたい」と思っているお店は多いと思うんですけど、なかなか成功しないじゃないですか。それはやっぱり子どもに喜んでもらうための商品やサービスが足りていないということなんでしょうか。

倉橋

足りていないか、あっても金額が高いことが多いですね。親が子どもを連れて行きたい場所は世の中にたくさんありますけど、子どものファーストチョイスになれる場所はそう多くない。子どもの目線に立ったマーケティングをちゃんと考えないと、そこには届かないと思います。

安田

なるほどなぁ。聞いていて思ったんですけど、これって昔の駄菓子屋ですよね。30円ぐらい握りしめて駄菓子屋に行って、くじを引いたり友達が買うのを眺めたりして一日過ごす。あのワクワク感を令和に再現しているというか。

倉橋

まさにそうなんです。「令和の駄菓子屋」を作っているような感覚ですね。駄菓子屋のくじ引きがクレーンゲームになって、めんこがトレーディングカードになって。子どもたちがワクワクする仕組みは時代が変わっても本質は同じなんですよ。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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