さよなら採用ビジネス 第41回「3社目理論の真実」

この記事について

7年前に採用ビジネスやめた安田佳生と、今年に入って採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第40回「すぐ採用したい会社は、もう負けている」

 第41回「3社目理論の真実」 


安田

石塚さん、最近よく「3社目を狙え」って言うじゃないですか?

石塚

はい。「2回転職して3社目の人」って意味ですけど。狙い目です。

安田

どういう根拠で、3社目の人が狙い目なんですか?

石塚

これ、まったくの主観ですけどね。

安田

石塚さんの主観は、よく当たりますから。

石塚

まず、親が自営業やってる大学生って、今ものすごく少ないんですよ。

安田

そんなに?

石塚

もう、ほとんどがサラリーマン家庭なんですよ。

安田

そういう家庭が増えたってことですか?

石塚

はい。これは「大規模小売店舗法」っていうのに、端を発してるんですよ。

安田

大規模小売店舗法?

石塚

はい。あれで、ものすごい数の小売店が、店を閉めちゃいました。

安田

どういう法律だったんですか?

石塚

少し説明すると、ダイエーなんかの大型店の出店を凍結させる古い法律。むかしアメリカがこれに噛みついて日本の大店法はおかしい!って大騒ぎにされて(笑)大店法を廃止したんです。その対策に国家予算を使って日本中の商店街の振興策をやったわけです。

安田

振興策をやったのに、ダメだったんですか?

石塚

それが完全に裏目に出ました。

安田

どういう振興策だったんですか?

石塚

商店街を充実させるためにものすごい予算をつけたんですよ。

安田

それがいけなかったと?

石塚

国と都道府県と商店主が、3分の1ずつ負担する制度だったんですけど。

安田

その負担が重かったわけですね?

石塚

はい。途中でバブルがはじけちゃって、ローンが払えなくなった。

安田

なんと!

石塚

日本全国いろんなところに、長距離のアーケードってあるじゃないですか?

安田

ありますね。寂れてるところが多いですけど。

石塚

あれ、実は商店街振興予算でつくったんですよ。

安田

そうなんですか!

石塚

僕らが子どもの頃は、アーケードの商店街って、結構賑わってたんですよ

安田

確かに。賑わってたような気がします。

石塚

大阪にもアーケードあったでしょ?

安田

ありました。

石塚

新潟の古町にもあるんですよ。ものすごいアーケードで、雨にぬれず、雪降ったってぜんぜん平気で、すごく活気があった。

安田

いつ頃まで、活気があったんですか?

石塚

80年代の最後まで。

安田

じゃあ、バブルと同時にはじけた?

石塚

はい。ローン返済の途中でバブルがはじけて、シャッター閉めるしかなくなった。

安田

かなり大変そうですね。

石塚

だって、そこに住居もあるわけだから、商店って。

安田

ですよね。

石塚

で、日本中の自営業者が懲りちゃった。

安田

自営業が嫌になったと?

石塚

子どもに「頼むから、おまえは毎月給料が出る勤め人になってくれ」って。

安田
なるほど。それで、サラリーマンが一気に増えたと。
石塚

そのサラリーマンの子供達が今、大学生なわけですよ。彼らは実商売と、ものすごく縁遠い。

安田

縁遠いと、どうなるんですか?

石塚

仕事というものがリアルじゃないんですよ。だから自分に見合う仕事を見極められない。

安田

なるほど。で、失敗すると?

石塚

そうです。新卒で就職する人の「仕事理解力」は30年前の半分以下になってる。

安田

半分以下ですか!

石塚

事業とか会社に対しての理解力・把握力が半減してます。

安田

その原因はサラリーマン家庭にあると?

石塚

そのとおりです。やっぱり商売人の子どもって優秀ですよ、ビジネスマンとして。

安田

なるほど。1社目で「うまく見極められない」という理由は、よく分かりました。で、2社目ではまだ早いんですか?

石塚

見極められないなりに、1社目はバランスを重視してるんですよ。

安田

バランス?

石塚

安定して、食っていけそうな仕事を選んでる。

安田

なるほど。

石塚

つまり、本当は自分の希望があったけど、希望じゃないところに入った。だから2社目は自分の希望するところに行きたい。

安田

やりたいことを優先するべきだと考えるわけですね。で、2社目に行くと。

石塚

2社目行きますよね。でもマッチングしない人の方が多い。

安田

なんで合わないんですかね?好きなところを選んでるはずなのに。

石塚

要するに経験の絶対量がまだ足りないんですよ。だから話にリアリティーがない。「こうしたい」とか「ああしたい」はあるけど、地に足がついてない。

安田

地に足がついてない?

石塚

肝心なところが抽象的なんですよ。「何が得意?」と聞かれても、自分の強みとか得意がわかんない。

安田

なるほど。

石塚

「嫌いな仕事教えて」「なんで嫌いなの?」って聞くと、すごく抽象的な答えが返ってくる。

安田

まだ自分のことが整理できていないと?

石塚

「好きなこと・嫌いなこと」「できること・できないこと」っていう2軸で自分のグラフが描けない。

安田

ああ、なるほど。2つ職場を経験することによって、軸が2つできて、よく見えるようになってくると。

石塚

はい。ようやく。

安田

で、三角測量みたいな感じで、3社目になると「ぴったりの会社」が見つけられると。

石塚

ぶっちゃけ言っていいですか?

安田

はいどうぞ。いつも通りにぶっちゃけてください。

石塚

「好きなことで、自分ができること」を見つけるのを、諦めるんですよ。

安田

なんと!諦めですか?

石塚

「好きじゃないけど出来ること」を、現実的に選ぶのが3社目なんですよ。で、それが意外に成功する。

安田

達観するってことですですか?

石塚

やらなきゃいけないから、工夫する。それがすべての始まり。

安田

仕事は、好き嫌いじゃないと。

石塚

「好きで得意なことを」なんて言うけど、そんなのまずなくて、できることを現実的にやろうよっていう。

安田

なんか夢がないですね。

石塚

でも「何が好きか」なんて、働いてみないと分からないじゃないですか。

安田

自分ができることを工夫してやっているうちに、だんだんその仕事が好きになっていくと?

石塚

そのとおり。でも1〜2社目では、それがまだ分からない。

安田

だから新卒ではなく、3社目を狙えと?

石塚

おっしゃるとおりです。

安田

最後にもう1コだけ、聞いておきたいんですけど。

石塚

何でしょう?

安田

4回以上転職してる子は、ダメってことですか?

石塚

はい。4回以上転職してる子は、もう自分で起業してやったほうがいいのが1割。

安田

雇われること自体が、合わないってことですね?

石塚

そうです。そういう子が1割。

安田

では残りの9割は?

石塚

あとの9割はクズです。「吹き溜まりまで行ってくれ」って感じ。

安田

言ってしまいましたね(笑)

石塚

刺されるかも(笑)


石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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