前回は「ビジネスの基本ベクトル」が変わりつつあることを書いた。社員を増やすこと、顧客を増やすこと、売上を増やすことが、プラス要素からマイナス要素へと変化していく。経営者が頭を切り替えない限り、人の悩みから解放されることはなく、利益はどんどん毀損していくのである。
単に社員を増やし続けるのではなく、業務委託を活用して新たな組織を作りあげること。無闇に顧客を増やし続けるのではなく、儲からない既存顧客を新たな優良顧客と入れ替えていくこと。ひたすら売上を拡大し続けるのではなく、利益率が最大化する売上規模を見極めること。
関わる人が最も心地よく働ける状態。顧客の満足度と収益率が最も高い状態。ここを目指すことで中小企業はシン中小企業へと生まれ変わる。売上規模や社員数で企業価値を測るのではなく、働く人の満足度と収益率で企業価値を測るのだ。
方向転換するにあたってやるべきことはいくつかあるが、必須なのは新たな顧客の獲得力をつけること。これ無くして生まれ変わりは不可能だ。そのために取り組むべきことは3つある。1)魅力的な商品づくり。2)買いたくなる販売ロジック。3)契約率を高めるセールスIQ。
どれが欠けても新規顧客は獲得できない。そして私の経験上、最も難しいのがセールスIQを高めていくマネジメントである。極端な話、商品や販売ロジックは外注で作り上げることができる。だがセールスだけは自分たちでやる他ない。まずは商品価値を理解し、販売ロジックをマスターする。だがこれだけでは売れない。新たな契約を獲得するにはセールスIQが不可欠なのである。
セールスIQとは顧客とのコミュニケーションセンスだ。どのタイミングで、どんな対応をすれば、相手は心地よく感じてくれるのか。どんな対応をすれば相手は気分が悪くなるのか、不信感を持つのか。これを理解した上できちんと行動できること。メールの返信が1日遅れるだけで契約率は下がる。質問にほんの少し工夫して答えるだけで契約率は上がる。顧客心理とその対応をセールス担当に理解させ、実行させる必要がある。
これができないと、どんなに良い商談も水の泡になってしまう。まずはセールスに適した人材をきちんと見極めて配置すること。セールスの基本をきちんと教えること。そして細かいマネジメントをすること。たった1通のメール、たった一度のアポイント設定が、驚くほど契約率を押し下げていくのである。
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