他社よりも先に値上げする。他社よりも先に給料を増やす。これをやる気がないならもう経営者はやめた方がいい。後追いの経営ではもはや成り立たないことが明白だからである。後追い値上げでは報酬アップも実現できない。人は辞めていくし、補充もできないし、辞めずに頑張る社員は疲弊していくだけ。
原価が上がったから値上げするのではない。周りが上げているから値上げするのでもない。社員はじめ関わる人たちの報酬を最大化していく。そのために少しでも高く売る。高くても売れるだけの価値を生み出し続ける。それが経営者の仕事なのである。報酬を抑えて利益を出す経営など誰も求めてはいない。
国のトップなら国民の生活を豊かにすることは使命と言える。会社のトップも同じである。従業員含め関わる人の報酬をいかに増やしていくか。それを真剣に考えるトップの下に人が集まってくる。報酬を抑えて利益を確保しようとするトップには誰もついてこない。人がいなければ事業は成り立たない。
仕事はあるけど人がいない。このように考える経営者は根本がズレている。人が集まらないような仕事は「ある」とは言わない。人も利益もついてくるものを仕事というのである。もし「そんな仕事はない」と感じるなら、自分は「経営者として仕事をしていないのだ」と自覚する必要があるだろう。
必要なのは人ではない。人が集まってくるビジネスの仕組みが必要なのだ。その根本にあるのが「高く売るための工夫」である。安く売って、安く働かせるのは、経営者の仕事ではない。高く売って、尚かつ顧客に喜ばれる価値を提供する。その価値を生み出し、仕組み化することが経営者の仕事なのである。
先に値上げすることなど考えられない。価値を生み出すのは苦手だ。そう思うのなら早々に経営者を降りた方がいい。そんな経営者は誰にとっても不幸だ。関わる人の利益を最大化する。社員も、外注先も、顧客も。そのために価格を上げる。価格に見合う価値を生み出す。新たな価値を模索し続ける。
会社の利益ではなく関わる人の利益を最大化する。それが経営者の仕事なのだと自覚できない人は組織の長には向かない。どんどん人が離れて事業が継続できなくなることは明白だ。関わる人の報酬を増やしたいならやるべきことは決まっている。先に値上げする。先に報酬を上げる。順番はこれしかない。
尚、同日配信のメールマガジンでは、コラムと同じテーマで、より安田の人柄がにじみ出たエッセイ「ところで話は変わりますが…」と、
ミニコラム「本日の境目」を配信しています。安田佳生メールマガジンは、以下よりご登録ください。全て無料でご覧いただけます。
※今すぐ続きを読みたい方は、メールアドレスとコラムタイトルをお送りください。
宛先:info●brand-farmers.jp (●を@にご変更ください。)